室内外の温湿度等をセンサーで常時計測し、必要な演算の後、居住者へ窓の適正な開閉方法を指示・表示する「窓開閉アドバイザー」について、試作機を一般居住者に使用して評価してもらうモニター調査を行うとともに、数値シミュレーションにより、適正な判断ロジックの構築・改善とその室内環境評価を行った。本研究では、主に非在宅時あるいは就寝時を対象として検討を行った。 非在宅時の検討では、外出時点において窓を開けるべきか、閉めるべきかをシミュレーションにより検討した結果、全熱負荷としては窓を開けた方が好ましい日と、閉めた方が好ましい日に分かれたため、非在宅時の室温の予測が過去の外気温・室温等の実績データから可能かどうかを検討した結果、ある程度の精度で予測可能であることが分かったが、学習のための期間が数年以上と非常に長く実際的な予測方法として改善の必要があることが分かった。 就寝時の検討では、快適な睡眠環境を得るために、就寝後に室温を下降させ、明け方から室温を上昇させるような室温軌跡を得るためのアドバイス機能を事前のシミュレーション検討により組み込んだ。この判断ロジックをアドバイザーの試作機にプログラミングし、夏期において5件のモニター調査を実施した。モニター調査の結果、窓を閉めた状態で冷房タイマーを使用した場合、上記の「V字型」の室温軌跡を実現できることを確認した。 本研究は主として住宅への適用を念頭に置いているが、最終年度では新たに業務用建物への適用に範囲を広げることを目的に、自然換気装置を備えた学校施設を対象に検討を行った。当建物は各階の居室開口部の開閉の他、建物中央部に設けられた外部ボイド等を有しており、アドバイザ活用による省エネが可能かどうかのポテンシャルを見積もるため、換気量・環境測定とともにシミュレーション検討を行い、省エネ効果を確認した。
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