研究課題/領域番号 |
23560705
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩本 靜男 神奈川大学, 工学部, 教授 (20213316)
|
研究分担者 |
趙 旺熙 神奈川大学, 工学部, 助手 (80583731)
|
キーワード | 住戸セントラル給湯設備 / 追焚き / 自動保温 / 入浴パターン / 被験者実験 / 水道水温予測 |
研究概要 |
本研究は、①日本各地の水道水温の標準年予測値推定ソフトウェア、②追焚・自動保温を含む多様な利用実態に応じた住宅用給湯消費エネルギーの予測ソフトウェア、の2つを開発することであり、次の6段階となる。 (1)自動保温・追焚による熱供給の計算法の構築については、本研究の柱の一つであり、2011年度の既往文献調査とモデル化方針に従い、2012年度で計算モデルを構築できた。(2) 本学給湯実験室等による被験者実験による入浴パターンと浴槽湯温降下のモデル化については、本学給湯実験室において10名の学生被験者により入浴パターンの申告、浴槽湯温と浴室内気温・湿度の計測を行った。2011~2013年度にわたって被験者実験を行い、データを増強できた。特に2013年度では浴室気温とシャワー湯温とに線形関係があることが確認できた。(3) ソフトウェアの計算時間は自動保温の計算を組み込んだことで大きくなり、さらに短縮に向けて工夫が必要であることがわかった。(4) 水道水温の予測値推定ソフトウェアの開発については、2013年度にwebサイトから自動的に読み取る仕様を作成できた。計算結果の確認に手間取っており、次年度に検討する。(5) 既往の実験室実験との照合と検証については、既往文献の調査にとどまり、詳細は次年度の課題となる。(6) 実務設計者による使用感アンケートの実施と分析結果によるソフトウェアの洗練については、計算時間が大きいことから今年度は準備にとどまり、実施は次年度に延期された。 当初本研究は3年計画であったが、2013年8月に空気調和・衛生工学会主催のシンポジウム「ZEBの動向と定義」が開催されるなどZEBの観点から研究内容を見直す必要もあると考え、1年間の計画延長を申請した。ZEBにおいて給湯熱源がどう扱われているかについて、次年度の欧州ZEB視察により確認する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は2つのソフトウェアの開発を目指して、6段階の研究計画を4年間で実施するものである。本年度は1~6の段階において、1の数値計算モデルの構築、2の被験者実験については順調であり、計算モデルは十分妥当な結果が得られることも示している。3の計算時間短縮と4の水温計算モデルについては課題抽出は終わっており、5の実験結果との照合と6の実務者による使用感アンケートとともに次年度に達成を目指す。 本年度は当初3年間の研究計画であったが、建築設備分野でZEBに関心が集まっており、ZEBの観点から給湯設備を見直すため1年間の延長を申請した。計算時間短縮、水温計算モデル、実験結果との照合、実務者による使用感アンケートについて課題が残っていることから「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
6段階別に以下に記す。 1の自動保温・追焚による熱供給の計算法の構築については、ほぼ終了した。2の本学給湯実験室等による被験者実験による入浴パターンと浴槽湯温降下のモデル化については、入浴パターンの検出のためのデータ補強は完了しており、平成26年度も10名以上の学生被験者による追加実験を予定している。浴室内気温・湿度の計測はもとより計算による予測も含めて、1の計算モデルを組み込んだ数値モデル化を行う。3のソフトウェアとして各種計算方法の組込みについては、計算時間の短縮に向けて複数コアを活用した並列計算の可能性を含めて、さらに工夫できないか検討を進める。4の水道水温の予測値推定ソフトウェアの開発については、必要な情報をwebサイトから自動的に収集する仕様は実現できたので、水道水温計算結果の精査を含めて検討を行う。5の既往の実験室実験との照合と検証については、2の実験結果を活用して検証を始める。26年度前半までにはおおよそのソフトウェアの構築を終え、6の実務設計者による使用感アンケートの実施と分析結果によるソフトウェアの洗練について検討を始める予定である。さらにZEBの観点から研究内容を見直し、特に熱源について新たな研究課題が見つかれば取り組む予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2013年度より建築設備分野においてZEB(Net Zero Energy Building)に対する関心が高まり、住宅においても同様の取り組みが必要と感じたため、本研究計画を1年延期するよう申請した。 2014年6月に建築設備技術者協会主催の欧州ZEB視察に参加し、欧州でZEBと呼ばれる建物において給湯設備がどう扱われているかを実際に視察する予定である。加えて2013年度で残された課題、計算時間短縮、水道水温計算結果の検証、実験結果との照合、実務者による使用感アンケートに取り組む予定である。
|