本研究は、①日本各地の水道水温の標準年予測値推定ソフトウェア、②追焚・自動保温を含む多様な利用実態に応じた住宅用給湯消費エネルギーの予測ソフトウェア、の2つを開発することであり、次の6段階とした。 (1)自動保温・追焚による熱供給の計算法の構築については、本研究の柱の一つであり、2011年度の既往文献調査とモデル化方針に従って、2012年度で計算モデルを構築できた。(2)本学給湯実験室等による被験者実験による入浴パターンと浴槽湯温降下のモデル化については、本学給湯実験室において10名の学生被験者により入浴パターンの申告、浴槽湯温と浴室内気温・湿度の計測を行った。2011~2013年度にわたって被験者実験を行い、データを補強できた。特に2013年度では浴室気温とシャワー湯温とに線形関係があることが確認できた。(3)ソフトウェアとして各種計算方法の組み込みにおいてはさらに計算量の低減が必要であることがわかった。(4)水道水温の予測値推定ソフトウェアの開発については、2014年度でExcelによるVBAコードで実現した。今後はこのソフトウェアの公開方法について考察する。(5)既往の実験室実験との照合と検証については既往文献の調査にとどまった。(6)実務設計者による使用感アンケートの実施と分析結果によるソフトウェアの洗練は、時間不足のため断念し、今後の課題とした。 当初本研究は3年計画であったが、2013年8月に空気調和・衛生工学会主催「ZEBの動向と定義」が開催されるなどZEBに対する関心が高まったことから、ZEBの観点から研究内容を見直し、1年間の計画延長を申請した。2014年度の欧州ZEB視察から、ZEBにおいて給湯熱源は、太陽熱、バイオ燃料によるコジェネレーションが主流であることを確認できた。これらの設備においても本研究の成果を活用することができると考えられる。
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