研究課題
近年、スギ材には、優れた空気浄化機能があること、その抽出成分にはストレス緩和効果や睡眠内容の改善効果などのあることが報告されている。これらの作用によるヒトへの心理的・生理的な効果が実証されれば、居住者の健康改善や健康増進に寄与できる新たな居住空間を提案することが期待される。本研究では、スギ材に着目し、居住空間にスギ材を用いた場合のヒトの心理的ならびに生理的な効果について検証することを目的としている。平成23年度は、作業負荷後の疲労回復効果、木材の香りが嗅覚神経系に与える影響、スギ材内装環境室における見えと心理評価の実験を行った。平成24年度は、睡眠の質や入眠に与える影響、スギ材内装環境室における見えと心理・視覚認知反応の評価の実験を行った。最終年度である平成25年度は、これまでのデータの解析を仕上げてとりまとめ、学会や学術誌等で発表を行った。論文投稿等は、さらに今後も継続予定である。また、今年度は、大阪府環境農林水産部みどり推進課からの協力要請により、保育園の木質内装化による室内環境や園児に対する影響について、保育士や保護者のアンケート調査を実施した。アンケート調査は、2014年10月中旬~12月下旬に木質内装化工事前後において、大阪府内の4つの保育園の工事室(3~5歳児138名)と対照室(3~5歳児98名)で実施し、その結果を比較評価した。保育士および保護者アンケートからは、工事後に教室がより明るく、温かみのある雰囲気に変化したことや、より落ち着く、集中できる空間であると評価されるなど、内装の木質化工事によって教室内の雰囲気が改善されたことが明らかになった。
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Proceedings of 13th International Conference on Indoor Air Quality and Climate
巻: (in press) ページ: 8
生存圏研究
巻: 8 ページ: 55-58