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2012 年度 実施状況報告書

精神科病院における空間的アプローチによる治癒環境に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23560714
研究機関千葉大学

研究代表者

中山 茂樹  千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80134352)

研究分担者 積田 洋  東京電機大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60120119)
鈴木 弘樹  千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50447281)
キーワード精神科病院 / 隔離室環境 / 治癒環境 / 行動観察 / 移転 / 精神疾患 / バイタル / GHQ
研究概要

これまでの精神科病院に関する研究は、主に施設の使われ方や患者の社会復帰のための実態調査とそれに対する提言に関する研究が中心となっている。精神疾患に対する治療方法は日々改良や改善、発展しており、精神病院ごとに施設および治療法の特徴がある。ある意味、精神科病院は、医師の治療法を体現する機能的器としての側面があるため施設計画や使われ方研究は、概論的なものとなり、細部は医師や看護師の工夫や意見によって決定されている。そのため精神病院の建築計画研究は、長い間手がついていない領域であった。しかし、精神疾患の患者は急増し、その予備的患者も潜在的に多い。また、近年、最も注目される社会問題の1つである自殺者が年間3万人を超えている現象は、精神病が直接、間接的に影響していると考えられ、早急に取り組まなければならない課題である。本研究は、今までの建築計画的研究ではなく、空間がどのように患者に影響し認知・把握されているかを捉え空間認知的アプローチにより精神病院をとらえなおそうとする研究である。今まで病院空間は、患者にとって医療行為を受けそれ以外はただいる場であったが、空間は何らかの影響を患者に与えている。そこに着目しいていることは、本研究最大の特徴であり、病院の本来の姿である治癒環境の提案を行うことにある。昨年度は、健常者による予備実験を行い、調査方法の方向性を決定した。また、精神科病院に対してアンケート調査を実施し、保護室やスタッフステーションの施設の状況を把握した。今年度は、保護室において健常者による本実験を行い、医療関係者などの意見を聞きながら慎重に患者へのアンケートや実験を2病院において行った。また、病院の建て替えを行った病院において、移転前と移転後において保護室の調査、公共的空間においての行動観察調査、バイタルやGHQの変化を調査した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、調査をしにくい保護室の調査に対して、予定通り健常者による本実験を行い、医療関係者などの意見を聞きながら慎重に患者へのアンケートや実験を2病院において行った。また、当初予定してなかったが、病院の建て替えを行った病院において、移転前と移転後において保護室の調査、公共的空間においての行動観察調査、バイタルやGHQの変化を調査できたことは、今年度の大きな収穫である。その内容は、2013年3月社会精神医学会で3編発表され、2013年5月には統合失調症学会で3編、日本建築学会2013では、4編発表の予定である。また、昨年度のアンケート調査は、日本建築学会論文報告集(査読あり)に投稿し、採用された。以上のように順調に研究は進んでいる。

今後の研究の推進方策

当初予定していた中山、積田、鈴木の3名の分担については、おおむね予定通りに分担作業を行い、予定通りの成果を収めることができた。また、引き続き国立精神・神経医療研究センターの協力、調査予定の病院の確保は予定通り進んでおり、来年度も引き続きこの研究体制を維持し、研究を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

来年度は、収集したデータをもとに、数量分析を行い、その内容を考察し、本研究の最大の特徴である空間的アプローチによる治癒環境の提案を行う。また、精神病患者の治療の一助となる実験方法の確立などを行い、総合的に精神科病院の設計・計画の知見を得る予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 精神科入院患者の日常生活行動への影響2013

    • 著者名/発表者名
      石川博康、中山茂樹、鈴木弘樹他
    • 学会等名
      社会精神医学会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130307-20130308
  • [学会発表] 患者・スタッフインタビューから見えてくる病棟環境の日常生活行動への影響2013

    • 著者名/発表者名
      今井奈々子、中山茂樹、鈴木弘樹他
    • 学会等名
      社会精神医学会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130307-20130308
  • [学会発表] 病棟内の公共的空間の行動と個室空間の環境評価の研究2013

    • 著者名/発表者名
      岩崎真央、中山茂樹、鈴木弘樹他
    • 学会等名
      社会精神医学会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20130307-20130308
  • [学会発表] 保護室・隔離室の施設概要に関する分析2012

    • 著者名/発表者名
      中山茂樹、羅靖、鈴木弘樹、積田洋
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120912-20120914
  • [学会発表] 保護室・隔離室の施設概要と評価に関する分析2012

    • 著者名/発表者名
      羅靖、中山茂樹、鈴木弘樹、積田洋
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20120912-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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