研究課題/領域番号 |
23560731
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研究機関 | 独立行政法人建築研究所 |
研究代表者 |
米野 史健 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 研究員 (60302965)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 民間非営利組織 / 住宅供給 / 住宅管理 / 支援システム |
研究概要 |
研究初年度である平成23年度は、既存の調査研究や新聞・雑誌記事、学会・研究会やシンポジウムでの情報、WEBに掲載された情報などに基づいて、民間非営利組織(NPO)が手がけている住宅の供給・管理及び入居支援の活動事例を全国的に収集・整理し、行われている事業の内容や供給された住宅の特徴、及び住宅の建設等に要したイニシャルコストとその後の運営に要するランニングコスト等の概要について、事例情報を用いて可能な範囲での把握を行った。これより住宅関連の事業として、居住者のニーズに合った新規の住宅建設や、既存ストックを活用した住宅の開設などの住宅供給事業、及びそれら住宅の運営や入居者の生活支援などの管理事業を行っていることが確認された。 これらの収集した事例のうち、高齢者を対象とした住宅の供給や入居の支援を行う団体を対象として、関係者へのヒアリングと物件の視察を行い、資金の収支も含めた実態の実態を把握した。これより、住宅の供給・管理事業だけでは必要となる費用はまかなえておらず、介護保険等の公的な福祉の仕組みを用いて収入を得ることで、全体として事業を成り立たせている状況が明らかとなった。 また、東日本大震災からの住宅再建において、NPO等の民間団体の主導による住宅の整備、またはこれら団体と行政との公民連携による住宅の供給・管理を検討している研究会等に出席し、検討の状況を把握するとともに、実現の可能性と必要となる支援策について関係者と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2011年3月に発生した東日本大震災の後、民間非営利組織(NPO)の活動を取り巻く社会的な状況は大きく変化しており、これは住宅の供給・管理事業を行う団体でも同様である。被災地において新たな住宅の供給を行おうとする団体、被災地から避難してくる人を民間賃貸住宅等で受け入れて生活を助ける支援活動を行う団体など、震災を受けて住宅関連の活動を強めるあるいは新たに始める団体がみられる。また、これまでにNPOが多く手がけてきた「共同の住まい」に対する社会的関心も高まっており、実績を有する団体による新たな事業の展開や、新たに事業を始めようとする団体もみられる。このような状況を受けて、当初の研究計画では本年度に実施する予定だった、特定非営利活動法人の活動報告資料の全国的収集の作業は延期しており、そのため作業はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの達成度」で記したように、本年度に実施予定だった特定非営利活動法人の活動報告資料の全国的収集の作業は延期しているため、次年度においてはまずはこの作業を進めて、新たに立ち上げられた住宅の供給事業の事例や、立ち上げたはよいが運営・経営がうまく行っていない事例等を収集して、今後の支援の仕組みの検討に必要となる基礎的情報を把握する。 また上記の理由により、本年度は既に実績を有しており社会的にも知られている、情報の把握がしやすい団体及び事例のヒアリングにとどまったが、次年度はあまり知られていないものも含めて幅広く事例の状況を掴んだ上で、個別具体の状況を詳細に把握するためのヒアリング調査を進めるものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の通り、本年度に実施する予定だった特定非営利活動法人の活動報告資料の全国的収集の作業は延期しているため、次年度に繰り越す研究費はこの収集に関する作業費(資料複写費、資料整理補助者への謝金など)として使用する。 またこの収集作業が行えなかったため、本年度の団体ヒアリング調査は少数にとどまったが、次年度は収集して得られた情報を元にして幅広い団体のヒアリングを進める予定であり、このための調査旅費、ヒアリング対象者への謝金、資料購入・複写費として研究費を使用する。
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