多民族社会マレーシアにおける混住状況の変容と動向

2011 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 23560733
• 研究機関: 兵庫県立大学
• 研究代表者: 宇高 雄志 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (80294544)
• 研究期間 (年度): 2011-04-28 – 2015-03-31
• キーワード: マレーシア

研究概要

本研究では、マレーシアにおける都市や農村の生活空間と多民族の混住状況の変容を追う。過去20年間に実施したマレーシアの農村、住宅団地、市街地などの複数地点における生活空間調査「過年度調査（1990年代調査）」の同一地点に対して、本研究では再訪調査「本申請調査（2010年代調査）」を実施する。平成23年度は諸事案をうけ、現地調査の開始次期が遅れた。しかし文献による各種政策や経済情勢などの変化の把握、現地調査を2回実施することができ所定の目標を達成した。第１回の現地調査では、ペナン州・ジョージタウンにおいて多民族混住状況の変動をみる目的で、建造物の利用状況を把握し、関係者に対する聞き取り調査を実施している。同都市は最近、世界遺産に登録されているがこれによる観光産業に対応した建物の転用が進んでいる。一方、中心市街地では民族構成に著しい変化がみられる地区を把握できた。これの理由については現在分析を行っている。第二回の現地調査は、主にジョホール州の郊外住宅団地にて実施し、第一回調査と同様の調査を行っている。住宅団地においても民族構成に変動がみられた。これの理由については現在分析を行っている。また都市近郊を含めた同州における大規模開発の状況を把握しこれについても識者に対する聞き取りを実施することができた。また第二回調査では、今後、本調査を実施予定のクアラルンプールおよびマラッカ、また西海岸の農村について事前踏査を実施することができた。　現在、第一回調査の結果を取りまとめ研究成果の公表の準備を進めており、第二回調査については現地調査の素データをとりまとめる過程にある。また今後の現地調査の実施について関係者との連絡をとりはじめている。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は諸事案により現地調査の実施が遅れたが、その後順調に調査および分析の作業を実施し、また最終的な報告書の構成要素となる各現地調査の結果をとりまとめている。以上、おおむね順調であるといえる。

今後の研究の推進方策

今年度以降は、順次、現地調査と考察を実施したい。この実施対象については現地の行政および研究機関との協議の上で定めたい。また平成２３年度の調査結果について研究論文を作成し、国内・国外の関連学会で発表したい。

次年度の研究費の使用計画

平成２３年度は諸事案により予算執行が可能になった時期が夏季以降となったため残額が生じている。一方、未執行金額には平成２４年３月中旬に実施した現地調査旅費分（見込み金額約２０万円）の支出が遅れたため合計３０７，３０１円残額が生じている。今年度は現地調査を三度程度予定しており、これへの旅費の支出を予定している。また必要に応じてマレーシアの学識経験者を招いて研究に関する意見交換をおこないたい。