研究課題/領域番号 |
23560742
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浦部 智義 日本大学, 工学部, 准教授 (10409039)
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研究分担者 |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 准教授 (10313107)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 病院建築 / 医師 / 意識調査 / 観察調査 / 移動 / 歩数計 / 医局 / 診察室 |
研究概要 |
調査対象候補として想定していた病院のある地域は、東日本大震災及びその後の原発事故による被災地であるため、調査対象の選定や調査方法については病院側に過度な負荷を与えないことなどに留意して、調査対象候補である病院との折衝を行った。具体的には、研究チームが持つ既存ネットワークを活かして、病院の築年数、病床数、増改築の計画などを考慮して福島県内の4つの中核的病院を中心に、調査・研究協力の打診を行い、予備調査的に1つの病院、本調査として他の1つの病院を対象として、後述する内容に関する調査並びに分析を1つの病院において行った(他の3つの病院に関しては、次年度以降に本調査の再調整を行うこととした)。 具体的な調査・分析については、まず (1)医師が勤務時間中に利用する諸室(医局・診察室・病室など)のあり方や利用行為等に関する調査票の設計を行い、それによる意識調査を行った。また、 (2)歩数計を用いた医師の移動に関する記録方法の検討を行い、実際に万歩計を携帯してもらい勤務時間中の歩数の計測と記録、並びに調査票を用いて移動に関する意識調査を行った。さらに、 (3)外来や管理部門の廊下を中心に記録員を配置して、医師の移動に関する観察調査を行い、医師の移動を客観的に実態を把握した。 それらによって、未だ地方の1つの中核的病院を対象とした調査・分析だけではあるが、勤務時間中の医師の諸室利用に関する意識や、諸室間も含めた移動実態、さらにその意識について明らかにし出来、次年度以降に他の病院において本調査を進めかつ比較分析を行える基盤ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画においては、地方の幾つかの中核的病院に調査・研究協力の打診を行って、複数の病院から承諾を得て、予備調査的に1つの病院を対象として意識調査や観察調査を行う計画としていた。結果的に、4つの病院に調査・研究協力の打診し承諾を得られたのが、予備調査として1つの病院、本調査として他の1つの病院で、本調査を行うに当って他の3つの病院に関しては次年度以降に調整が必要となった。 1つの病院を対象に、意識調査や観察調査の本調査を行えたことは、当初の計画よりも順調に進んでいる一方、複数の病院から本調査への承諾を得られずに次年度以降で調整が必要となったことを鑑みて、上記の区分と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、医師不足等の地域医療が深刻な問題となっている地方(ケーススタディとして福島県を想定)の中核的病院を調査対象として、今日まで患者や看護職員に比べて研究対象とされて来なかった医師の立場から見た病院建築の全体及び諸室の平面・空間計画、環境性能等への意識・評価及びその要因を明らかにすることを目的としている。 その様な当初の研究計画に沿った形で、今日まで十分な研究報告がなされていない (1)医師の勤務時間中の滞在場所・滞在割合、(2)診察室・医局など医師の利用諸室に関する意識調査、(3)外来や管理部門を中心とする医師の勤務時間中の動線といった項目で、医師の実態や意識とその要因が明らかにする。 それらに関して、本年度本調査を行った1つの病院の他に、次年度以降に2~3つの病院において本調査を行って、それらを医師の立場から見た病院建築の評価として比較分析し地方の中核的病院建築の計画要件として整理して、今後の設計者・計画者や施設管理運営者にも有益な基礎的資料を示す予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降は、本年度に本調査に関して調整する必要が出た、福島県内の2~3つの中核的病院に対して調査・研究協力の承諾を得るための病院等での事前打ち合わせの旅費、また本調査に際しては観察調査の記録員数十名の調査旅費や謝金などが必要となる。さらに、医師に携帯してもらう歩数計等の購入や膨大な調査データの記録用メディアなどの購入を行う。 それらに先立って、意識調査の対象医師へ配布する調査票の出力や都内の研究分担者との打ち合わせのための旅費なども必要となる。
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