平成23、24年度の研究結果を踏まえ、監視性及び領域性に着目して6つの住まいの工夫を作成し、対象8地区の居住世帯に対するアンケート調査(配布4922票、回収550票、回収率11%、平成25年11月実施)により、その重要性評価及び採択の許容性評価を求めた。得られた主な結果を以下に示す。 ①住まいの工夫の重要性は、全ての工夫について過半以上の居住者が各工夫を重要と評価している。各工夫について「重要でない」とする層は高々20%程度である。②住まいの工夫の採択の許容性評価は、団欒スペースの視認性確保に関する工夫を除く項目において「取り入れたい」が過半以上を占める。団欒スペースの視認性確保に関する工夫においては、団欒スペースでのプライバシーを守るとともに街路の視認性も確保する仕掛けが求められる。③好ましい住宅の閉鎖度についてみると、街路に対して開放的な住宅が支持されていることが明確となり、閉鎖度30%程度が住宅の開放性とプライバシーの保護の程よい均衡の目安になると考えられる。④上記①~③の結果より、提示した住まいの工夫を今後対象住宅地において、住宅改善・更新時に取り入れることの実現性は高く、その効果が期待できる。その際、家族の団欒スペースの視認性を高める工夫を導入する際にはプライバシー保護との均衡を保つこと、このほか工夫についても、敷地条件、経済条件、及び防犯上の効果に対する理解不足等に留意する必要がある 以上より、防犯性やコミュニティの回復を意図した、パーミアビリティが確保された戸建住宅地とは、前面道路側、隣地側の閉鎖度が低く街路から玄関や団欒スペースを視認できる住まいによって構成され、前庭の領域性が明確であり、そこで人々の交流が行われる住宅地であるといえる。居住者の意識をみても、このような住宅地を形成するための住まいの工夫の重要性は高く評価されている。
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