研究課題/領域番号 |
23560752
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
阿部 順子 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (50381455)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | フランス |
研究概要 |
本研究は、フランスの持続可能な地区整備事業エコ・カルティエから、日本の老朽化した団地地区の更新のための知見を得ることを目的としている。 H23年度は主に、現地調査の準備作業にあてた。管轄省で開示されているエコ・カルティエに関する情報や報告書を収集し、内容を分析し、事業の概要を把握し、現地調査先の選定を始めた。当初、H23年度にも現地調査を予定していたが、2011年の第2回コンクールが2009年の第1回コンクールから内容的に進化することがわかったため、結果を把握してからの現地調査の方がよいと判断し、H24年度以降に時期を変更した。 エコ・カルティエ事業は、2009年と2011年に開催されたコンクールとそこで得られた知見の共有が大きな柱であることがわかった。コンクール形式で、フランスが模範としたい環境共生型の地区(再)整備のあり方を検討し、様々な提案を受け入れ、参加自治体のすべての関係者間で知見を共有するプラットフォームをつくっていることがわかった。 エコ・カルティエとエコ・ビレッジやスマートシティとのもっともはっきりした違いは、ソーシャルミックスや中心市街地と辺縁部の融合を重視するという点であることもわかった。このフランスの視点は、日本の郊外の団地地区の更新において参考になると考えている。 これまでに、コンクール受賞事業の中から複数、老朽化した団地地区の再整備を含むエコ・カルティエ事業が検出できた。これらに関する資料のうち、インターネット上で公開されているものについてはすでに入手している。現地調査対象の選出のためにこれらの資料を読み込み、H24年度中に第1回の現地調査を実施する予定である。 なお、これまでの研究成果は、2012年度日本建築学会大会(東海)学術講演梗概としてまとめ、投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初現地調査を予定していたが、エコ・カルティエ事業を管轄する省がウェブサイト上で報告書やパンフレットなど、きめこまかくたくさんの情報を開示していたこと、また、2009年から2011年にかけて事業の内容が進化したことから、まずは情報の収集および整理が肝要と考え、現地調査を延期した。この延期は、当初の予定から外れたものとなるが、研究をより効率的かつ正確に行うために必要と判断できるものであり、本研究の目的の達成度としては、おおむね順調といえると思う。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに主にインターネット上に開示されている公的機関が作成した報告書や資料を収集、分析してきたので、今後はフランスの専門誌、一般紙や新聞などに掲載された文献資料、youtube等で閲覧できるニュース映像資料なども幅広く資料を収集し、内容を分析したい。この内容分析から、ヒアリング調査の項目を決定し、現地調査の準備を万端に整えたい。また、現地では可能な限り資料を購入・収集する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査1回~2回分の旅費として30~60万円、フランス語の校閲・ヒアリング調査のテープ起こしや資料収集のための人件費・謝金20~40万円、消耗品費、文献購入の費用10万円を考えている。作業の進捗によって、各費目間で調整を行う予定である。
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