研究課題/領域番号 |
23560752
|
研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
阿部 順子 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (50381455)
|
キーワード | フランス / エコ・カルティエ / 環境共生 / 持続可能 / 都市開発 / ソーシャルミックス |
研究概要 |
H23年6月に出産した子の先天性心臓疾患手術の合併症治療のための入院が、H24年度は3月から8月の5か月に及び、退院後も自宅での療養が不可欠であった。そこで子の看護のため、H24年6月より年度いっぱい育児休業を取得し研究が中断した。 一方、子の入院前に取り組んでいた研究内容については、2012年度日本建築学会大会(東海)学術講演梗概集で発表した:阿部順子「フランスのエコ・カルティエに関する研究・その1」(no.8068、2012年) ここでは、エコ・カルティエ事業を統括するフランスのエコロジー・持続可能な発展・運輸・住宅省のウェブサイトより報告書や資料を入手し、エコ・ヴィレッジやスマート・コミュニティの概念との違いに触れながら、日本の環境共生型の住宅地のために有用な知見および事業の概要を紹介した。また、2013年度日本建築学会大会(北海道)学術講演梗概集へ、続編「フランスのエコ・カルティエに関する研究・その2」を投稿済みである。ここでは、事業の2009年度から2012年度の展開を具体的に報告した。エコ・カルティエの2009年と2011年に開催されたコンクールの概要とエコ・カルティエ認証制度について概説した。 日本ではまだ上記の2編以外に詳細な文献はなく、これらによって、エコ・カルティエ事業の全体像が把握できるものとなった。また、現在のフランスの国を挙げた環境共生型の開発・再開発の方向性の一端も、これらによって明らかにされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた研究期間はH23-25年度であったが、期間中、期せずして妊娠・出産を経験し、さらに生まれた子に重い先天性心臓疾患があったため、時として母親としての役割を優先せざるを得ず、H24年度は研究が完全に中断してしまった。当初の計画がまったく狂ってしまったことは残念で、大変申し訳なく思っている。幸い、H25年度4月には職場復帰できたので、H25年度は未使用だった研究費を上手に使い、適宜業務委託などマンパワーを強化し、さらに効率よく速やかに当初の目的を達成できるよう努めたい。なお、育児休業等による研究期間の延長を希望する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
H25年度は、少なくとも1回の現地調査(6/30-7/7)を予定している。この調査では、模範的なエコ・カルティエとして、政府が主催した2回のコンクールで最優秀賞や優秀賞を受賞したプロジェクトの中から、老朽化した団地地区の更新が含まれている事例について、現地調査および関係者のヒアリング調査を実施する。早いものでは実施からすでに2年以上経過しているので、事業の成否についてもそれなりに知見を得られるものと期待している。 必要に応じて、第2回現地調査を行うが、第2回では事業のしくみを発案したり、運営した政府関係者へのヒアリング調査を中心に行いたいと考えている。また、そのヒアリングによって得られた情報から、必要があれば現在候補にない調査地へ赴くこともある。 これらの調査で得た知見は、少なくとも日本建築学会大会学術講演梗概集、可能であれば、その他の査読付き論文や著書にて広く公開したいと考えている。また、動画やウェブサイトへの研究成果の公開も試してみたいと考えている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
1回の現地調査の旅費として40万円、現地アシスタントの雇用のために30万円程度、資料収集のために15万円、調査結果のとりまとめのためのアルバイト雇用のために15万円、仏文校閲のために15万円、の合計115万円の支出を予定している。
|