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2012 年度 実施状況報告書

都市空間の集約再編手法による人口減少都市の計画・デザインとガバナンスの日米欧調査

研究課題

研究課題/領域番号 23560753
研究機関名城大学

研究代表者

海道 清信  名城大学, 都市情報学部, 教授 (80278332)

キーワード持続可能な都市 / コンパクトシティ / 人口減少 / 空き家 / 空き地 / イギリス
研究概要

平成24年度は、おおむね当初計画通り推進した。まず、海外調査については、立命館大学の吉田友彦准教授に調査協力を依頼して、2012年9月13日より9月24日まで、イギリスにおける人口減少都市の現地調査を実施した。マンチェスター、リバプール、バーミンガムなどを訪問し、市役所などでインタビュー調査を実施し資料収集した。また、シュリンキングシティ研究者(バーミンガム大学ミクネンコ教授、ピーターリー教授など)と面談して、シュリンキングシティを巡る状況、研究動向などについて、意見交換を行った。
国内の調査は、全国の空き家管理条例の策定と実施に関して資料収集と自治体アンケートを実施した。岐阜県可児市の住宅団地における空き地空き家調査と人口予測を行った。
研究発表については、中心市街地活性化計画の達成指標の研究を査読論文として都市計画学会論文集に掲載し、全国大会で発表した。シュリンキングシティの人口構造面での国際比較を建築学会大会で発表した。ドイツ、イギリス、日本の調査の報告として、雑誌『地域開発』(日本地域開発センター)に3回連載して発表した。また、コンパクトシティ関連の論考を発表した。可児市等の住宅団地の人口減少過程での生活行動などをまとめた論文を英文単行本共著として出版することができた。25年度の学会発表に向けて、研究論文作成の準備を進めた。岐阜県可児市の住宅団地の空き地空き家実態調査を行い、2005年時点との比較を中心に解析考察して論文作成を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請書では本研究の目的を下記のように定めている「我が国でもめざすべき将来都市像として位置づけられるようになった「コンパクトシティ」の実現手法や課題を、都市人口減少過程における計画・空間デザイン手法及び事業実施体制(地域ガバナンス)の視点から、考察する。そのため、急速な人口減少過程を経て、都市再生に成果を上げている米欧のコンパクト化事例、具体的にはデトロイト等アメリカ産業都市、コトブス等旧東ドイツ諸都市、マンチェスター等イギリス旧工業都市、及び我が国の人口減少都市を実地に調査する。比較調査によって、①都市空間のコンパクト化デザイン、②計画・実現過程における都市圏と中心都市の関係、③公共・民間・市民等各セクターの役割と協働の新しい方向を明らかにする。」
平成24年度は4年間の研究期間の2年度目として、昨年度に引き続き海外調査(イギリス)と海外研究者との交流を行うことができた。おおむね、計画通りの進行がはかられていると考えられる。研究全体の目的達成からすれば、40%程度ではないかと考えられる。その理由としては、海外調査が3カ国のうち2カ国で実施したが、今後資料の解読や解析、考察を進める必要がある。国内調査については、空き地空き家問題に焦点を当てて調査を進めており、住宅団地における人口減少高齢化と空き地空き家問題については、可児市調査で概ね把握できた。ただし、空き家管理条例や空き家の活用の面では今後進める必要がある。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、海外調査としては、長期にわたる成長管理で知られるデンマークのコペンハーゲン都市圏におけるフィンガープラン計画と実施手法、成果と課題についての現地調査を実施する予定である。なお、アメリカ調査については、最終年度である26年度に実施する予定である。また、海外研究者との研究交流を継続することと、ドイツ、イギリスにおけるデータと併せて、地域ガバナンス、都市構造ビジョン、都市圏都中心都市との関連などを整理、解析・考察する。また、駅を中心とした圏域の形成の計画、政策を中心に事例収集を行う予定である。これは、名古屋市の「駅そば生活圏」、各地域の「集約型都市構造」、欧米における、コペンハーゲンでも見られるTOD型政策であるが、さらに一般的に、Station Proximity Neighbourhood, SPN タイプの都市計画、都市開発として位置づけて、調査研究する。
日本については、統計解析を進めるとともに、典型都市、地域について、現地調査を実施する。統計解析では、国勢調査による長期的な人口、世帯数変化を、特に中心都市と周辺との関連の時間的な推移と今後の予測を軸に、都市、都市圏の特性との関連で解析する予定である。特に空き家問題について焦点を当てて、空き家管理条例を中心とした自治体の取り組みと空き家の活用事例を調査する予定である。
全体として、研究全体の仮説的なフレームを改めて検討する。

次年度の研究費の使用計画

国内外の調査旅費を中心とする。
データ解析のための統計データの整備を進める。
必要な消耗品、文献収集などにも、一部支出する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 都市縮小の空間計画とガバナンス(上):ドイツにおける人口減少と都市改造政策2013

    • 著者名/発表者名
      水原渉、海道清信
    • 雑誌名

      地域開発

      巻: 580 ページ: 50,56

  • [雑誌論文] 都市縮小の空間計画とガバナンス(中):イギリスにおける都市再生の光と影2013

    • 著者名/発表者名
      海道清信・吉田友彦・村山隆英
    • 雑誌名

      地域開発

      巻: 581 ページ: 49,55

  • [雑誌論文] 都市縮小の空間計画とガバナンス(下):縮小する日本都市の課題と展望2013

    • 著者名/発表者名
      海道清信・伊藤伸一
    • 雑誌名

      地域開発

      巻: 582 ページ: 44,51

  • [雑誌論文] うまくいかないコンパクトシティには何が足りないのか2012

    • 著者名/発表者名
      海道清信
    • 雑誌名

      人間会議

      巻: 27 ページ: 178,183

  • [雑誌論文] 「コンパクトシティ」施策・その後2012

    • 著者名/発表者名
      海道清信
    • 雑誌名

      季刊まちづくり

      巻: 36 ページ: 70,76

  • [雑誌論文] コンパクトシティの未来2012

    • 著者名/発表者名
      海道清信
    • 雑誌名

      地銀協月報

      巻: 629 ページ: 2,15

  • [雑誌論文] 中心市街地活性化基本計画における目標指標の特徴と達成状況2012

    • 著者名/発表者名
      伊藤伸一・海道清信
    • 雑誌名

      都市計画論文集

      巻: 47 ページ: 1027,1032

    • 査読あり
  • [学会発表] 都市縮小期(アーバンシュリンケージ)の人口構造-世界的文脈と我が国の特徴

    • 著者名/発表者名
      海道清信
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] 縮退する都市における大学・キャンパスの役割

    • 著者名/発表者名
      海道清信
    • 学会等名
      日本建築学会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] 中心市街地活性化基本計画における目標指標の特徴と達成状況

    • 著者名/発表者名
      伊藤伸一・海道清信
    • 学会等名
      日本都市計画学会
    • 発表場所
      弘前大学
  • [図書] Parallel Patterns of Shrinking Cities and Urban Growth2012

    • 著者名/発表者名
      Kiyonobu Kaido and Yoshiko Tsuruta
    • 総ページ数
      283
    • 出版者
      Ashgate Publishing Limited

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公開日: 2014-07-24  

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