本年度(H25年度)は、これまでの調査・分析をまとめた。 H23年度の調査から、統廃合の方法を学校規模、立地、設置計画、通学方法、検討プロセスを視点として量的・質的に評価した。 1)統廃合が必ずしも学校規模の拡充や標準化という各自治体の主目標の達成に繋がっていないことや、学校活動や通学方法、地域との関係の希薄化などへの影響。2)統廃合の方法を、学校規模と設置計画(学校名・施設)の統廃合前後での変化を指標として、「吸収型」「対等型」「中間型」の3タイプに分類し、多数を占める「吸収型」の児童の負担の偏り、吸収される小規模校地域から統廃合の合意を得るための説得が中心となる検討プロセスなどの課題。3)「対等型」「中間型」の、環境移行の負担を均等化し、新しい学校づくりの議論を活発化するなどの可能性。4)統廃合前後での学習方法、学校活動、地域連携活動の変化や空間活用の課題を学校活性化の視点で評価。以上4点について明らかにし、日本建築学会計画系論文集(vol.79 No.695 2014.1)にてまとめた。 一方、小規模小学校が地域に存続しながら活性化を図る手法として、小学校同士、小中一貫、小中学校間での学校間連携や、学校と地域との連携を取り上げ、H24年度に全国の事例を調査した結果について、活動特性や運営の仕組みを解明し、手法の有効性を評価した。1)学校間連携によって、複式学級指導から単式学級指導への転換、少人数学習や個別学習と集団学習の両立などの活動形態の多様化、相補的な施設利用などの有意性。2)学校・地域間連携では、地域の人的・物的な関わりにより活動形態や指導体制の多様化や学内の活気の増幅。これら2点について小規模性の課題克服を析出し、連携の有用性と統廃合のオルタナティブとなる可能性を実証した。これらの結果は、前半の統廃合の評価と合わせて研究代表者の学位論文(大阪市立大学)にまとめた。
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