本研究では,ワイマール期ドイツにおける労働者住宅の大量供給に関して,(1)第一次大戦末期から大戦直後の住宅建設の理念,理論を探るものとして,当時の「倹約建設」をめぐる建築家たちの提案の比較,(2)住宅改革運動の推進者たちの理念,理論,実践を探るものとして,1927年のドイツ住宅改革協会の会合「高層建築か,それとも低層建築か」において議論された住宅のあるべき形の分析,(3)1930年前後の国家施策において設定された建設されるべき住宅の形の把握と,そうした施策が建築家たちの動向にあたえた影響の考察から,当時の住居形式についての理念と実践の史的展開の一端を明らかにした。
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