本研究では,戦前期日本の影響下にあった諸地域,すなわち台湾,南洋群島,樺太,朝鮮ならびに満洲と日本国内における製糖・精糖業によって形成された都市もしくは街を対象に,製精糖工場とそれを取り巻く社宅街の建設過程を,現地調査や文献調査により詳細に検討することを目的としている。平成25年度は,具体的には以下のように研究を進めた。 平成25年5月に沖縄を訪問した。宮古島市で現地踏査と聞き取り調査を行った。さらに,沖縄県公文書館で空中写真を閲覧・収集し,宮古島市立平良図書館,北谷町立図書館,沖縄県立図書館で戦前期の沖縄県における製糖業に関する資料や文献を閲覧・複写した。 平成25年6月に北海道を訪問した。士別市で現地踏査と聞き取り調査を行い。戦前期に建設されて現存している工場の図面を閲覧してデジタル化を行った。さらに,市立士別図書館,札幌市立中央図書館,北海道大学附属図書館で戦前期の樺太や北海道における製糖業に関する資料や文献を閲覧・複写した。 平成25年7月から10月にかけて,台湾奨助金を得て,台湾に滞在することができたが,その際,科学研究費補助金によって,台北以外の次の地方の図書館や資料館を訪問して資料を閲覧・複写し,あわせて現地踏査も行った。新竹市,苗栗県苗栗市,台中市,彰化県,南投県,高雄市,屏東県,嘉義県,嘉義市,雲林県,台南市,宜蘭県,桃園内■市(■は,土に歴の字),花蓮県,台東県,桃園県桃園市である。 また,平成26年3月には,再度,台湾を訪問し,中央研究院人文社会科学連合図書館,国立台湾図書館,国家図書館で,戦前期の台湾における製糖業に関する資料や文献を閲覧・複写した。 これらの調査を通じて,これまでに得ることができていなかった多数の文献や資料を収集することができ,本研究で対象としている地域における製糖業に関する資料の一層の充実を図ることができた。
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