研究課題/領域番号 |
23560770
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
後藤 治 工学院大学, 建築学部, 教授 (50317343)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 農林水産業 / 仮設物 / 文化的景観 / 民俗技術 / 持続可能性 |
研究概要 |
静岡県では、漁業はほとんど伊豆地方に集中していることが判明したため、3年目の予定であった伊豆地方を中心に研究を進めた。具体的な内容としては、集落単位での記録保存の例として、島田市伊久美二俣集落の付属屋、製茶場、主屋の実測調査を行った。また、鰹節工場(焼津市)、天草倉庫及び天草洗い場・干場(下田市、西伊豆町)、ぼら納屋(伊東市)、網小屋(西伊豆町)の実測調査を行った。仮設物では、大根干し(湖西市、三島市、浜松市)、切干大根干し(湖西市)、イモ切干(掛川市)、自然薯栽培(島田市)、サクラエビ干し(富士川町、焼津市大井川)、板海苔(下田市)、シラスウナギの定置網(湖西市)、湖上のウナギ用網干場(湖西市)、えんどう豆栽培(湖西市)ほかについて、GPSでの位置情報の記録と実地検分を行った。なお、沖合いで餌用のイワシをとって木を沖で組んで作る仮設の生簀(西伊豆町)は、資材の確認のみに終わったので、今年度聞き取り調査を実施する予定である。常設では、鰹節工場(西伊豆町)、ひじき釜(下田市)、石垣イチゴ(静岡市)、漁船の停泊スペースを杭打ちすることで整備している漁港(湖西市)、旧わさび田跡(島田市)、各地の資材置場・薪置場・ワラ置場について、GPSでの位置情報の記録と実地検分を行った。伝統継承では、南沼上柴揚げ漁保存会 研鑽漁(静岡市)、焼津鰹節伝統技術研鑽会(焼津市・静岡県水産技術研究所)の実地検分を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的で掲げた、生産や加工に関わる施設についての調査研究、農林水産業の生産や加工に関わった歴史的な建築物・工作物や仮設物を網羅的に調査という両側面ともに、順調に進んでいる。研究が不足した点としては、時期によってどのような場所にどのような仮設物が作られるか、各地域に存在する付属屋が季節によってどのように使われているのかなど、季節との関わりを情報として十分に把握しきれず、調査が後手に回ってしまったことである。また、四季によって、建設される仮設物や建築物の利用方法も異なるので、同じ地域に異なる時期で足を運ぶ必要性が生じるということが、予想以上に必要であることを把握しきれていなかった面が課題なので、今後の研究においてそれを改善していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、引き続き県内の悉皆調査を行う。地域は、当初平成23年度に実施予定であった静岡県東部から西部にかけての沿岸部、今年度予定していた山間部の一部を実地検分する。前年度調査した仮設物や建築物について、作図、プロット地図の作成に着手し、同時に聞き取り調査を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
費用的に大きなものはできないが、かつて静岡県西部海浜沿いに見られた苗床とワラ囲いを復元する予定であり、これにワラや竹などの資材の購入費が新たな支出として発生する予定である。
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