最終年度は、静岡県下の悉皆調査を行うとともに、富士市のマル茂本多製茶工場他の実測調査、静岡市清水区のミカン貯蔵庫の実測調査、下田市田牛の伊勢海老の網干場や稲取漁港の市場等の実測調査を行った。また、南伊豆町下流では、年に一週間しか行われないヒジキ干しを検分した。 また、比較研究のため、静岡県外のものとして、秋田県横手市のいぶりがっこ製造小屋、山梨県甲州市の百目柿(干し柿)、沖縄県宮古島市、石垣島、小浜島にある魚垣、北海道稚内市の棒ダラ、滋賀県米原市のあまんぼう(干し柿)、京都府宇治市の玉露茶栽培の覆下茶園、長野県諏訪市の寒天干しや凍り餅、山形県新庄市昭和地区のサイロ、旧農林省蚕糸試験場新庄支場、旧積雪地方農村経済調査所等の調査を実施した。 調査対象物が、季節や時期によって建設されるものを含むため、県内を網羅的、悉皆的に調査する目標は達成することはできなかったが、静岡県内に独自の特徴を持つ農林漁業関係の建造物が多数存在することが確認できた。 昨年度までの静岡県に関する調査内容について、日本建築学会において発表を行った。また、本年度は、最終年度に該当するため、これまでの成果について、一部を書籍(食と建築土木)にまとめて発表した。その他、本調査の成果の公表として、東京都、愛媛県、静岡県において講演を行った。成果をまとめた書籍については、全国学校図書館協議会選定図書に第1467回選定会議(高等学校の部)で選定され、前年1年間で選定した図書の中から厳選した図書を収録した『学校図書館基本図書目録2013.1~12』に掲載された。
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