片山東熊は工部大学校を卒業し、明治に活躍した建築家である。未公開であった同家史料を調査し、資料集を作成して彼の設計に関する経過や意図を明らかにした。 結果①史料による片山の交友関係は田辺朔郎や、新家孝正らも含め、A東京大学関係、万里小路通房らB長州藩関係、河辺正夫らC装飾と芸術関係、に概ね大別できる。②アーツ・アンド・クラフツなど近代建築運動に邂逅 ③装飾家J.D.ハイマンと協同。明治宮殿「御車寄受附之間」設計では洋風要素を導入し、近代和風建築成立に貢献 ④濃尾大地震を契機に耐震を考慮 ⑤片山東熊設計の確証が無いとされていた神宮農業館の図面に東熊印を発見し、関与の確実化が判明した。
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