本研究では、伊東忠太、大江新太郎、佐野利器、大熊喜邦などをはじめ、明治期の日本人が実施した満洲建築調査を体系的に整理し、再調査をした。そして、1909年に伊東忠太が提出した進化主義の思想と中国調査の関連、大江新太郎の瀋陽故宮の調査とその後の進化主義作品との関連、明治期の調査記録と現在の遺存状況を比較し、歴史記録の現代における価値などを明らかにした。研究成果を論文や著書に留まらず、日本と中国及び欧米の建築史研究者による国際シンポジウムを主催し、20世紀初頭の日本人満洲建築調査の現代的意義を国際的な円卓で再検討した。
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