研究課題/領域番号 |
23560788
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
圓山 裕 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20181836)
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キーワード | 電気抵抗 / 高温高圧 / 磁気相転移 |
研究概要 |
Au4Mn規則合金における高圧下での磁気相転移について以下の実験的研究を行った. (1)Au L2,3-吸収端のX線磁気円二色性(XMCD)の圧力変化を低温(100K)で測定した.先行研究によると,低温で「負の圧力効果」が報告されている.本実験では5GPaまでの範囲で「正の圧力効果」が見出されており,先行研究と異なる結果が得られた.(2)電気抵抗測定による磁気相転移の圧力変化を調べた.高温高圧下での電気抵抗測定装置を製作し,圧力一定の下での電気抵抗の温度変化から転移温度を求め,更に転移温度の圧力変化を追跡した.その結果,常圧から7GPaまでの範囲で相転移温度の「正の圧力効果」が確認された.これは先行するXMCDの実験結果と整合している.(3)Au4Mn合金の単結晶化に成功した.誘導炉を用いたブリッジマン法による単結晶化を試み,比較的大型の単結晶の育成に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高温高圧下での電気抵抗測定に成功し,磁気相転移温度の圧力効果を電気抵抗を通して議論できるようになった.これによって,先行するX線分光法によるミクロな視点からのデータと電気抵抗によるマクロな視点からのデータの比較が可能となる.また,単結晶の育成に成功したことで,磁気相転移における構造変化との相関や異方性に関する議論が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
金属間化合物の高圧下での同型相転移(iso-morphic phase transition)について,結晶構造と電子状態の変化に関するマクロとミクロの両面から研究を展開する.実験的には,X線分光学的実験と電気抵抗の同時測定(多元計測)に挑戦する.単結晶を用いた異方性に注目したX線回折実験や高圧下の磁化測定を実施する計画である.
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次年度の研究費の使用計画 |
金属材料を購入して合金試料を作製し,単結晶を育成する.単結晶試料を用いた磁化測定から磁気異方性を評価する.作製したインゴットを用いて薄膜あるいはナノ粒子の作製を試みる.バルクとナノサイズの試料で磁気特性の相異を調べる.
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