研究課題/領域番号 |
23560795
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
加藤 丈晴 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (90399600)
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研究分担者 |
吉田 竜視 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 研究員 (50595725)
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キーワード | 電子線ホログラフィー / ショットキー障壁 / 電位分布 / FIB |
研究概要 |
金属電極/半導体界面のTEM観察用試料薄片化には異相界面の断面試料作製に最適なガリウム(Ga)イオンによる集束イオンビーム(FIB)法を用いるが、FIB法では、薄片化した試料の表面にダメージ層が形成さる。昨年度見出したFIB法による試料薄片化条件と、さらに薄片試料表面に形成されるFIBダメージ層除去条件に加え、本年度は、試料均一厚さを達成する試料薄片化とFIBダメージ除去条件を見出した。具体的には、各加工段階に置いて、Gaイオンビームの電流量はこれまでの条件で、比較的早めのスキャン速度(Gaイオンビームのデュウェルタイムを1~10μs)を採用した。この試料加工条件を用いて、NbドープSrTiO3バイクリスタル粒界を含み、針状サンプルを作製した。この針状サンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)による高分解能観察と電子損失分光(EELS)による化学状態を評価した。高分解能観察から、SrTiO3の格子縞が観察された。EELS測定では、SrTiO3粒内のチタン(Ti)の価数が4価であり、本来の化学状態であることを確認した。さらに、加速電圧300kVで電子線ホログラムを撮影したところ、極めて鮮明な干渉縞を得ることができた。今後は、ピエゾ駆動の電圧印加ホルダーによりSrTiO3粒界領域に電圧を印加し、電流-電圧測定とともに、電子線ホログラフィーを用いて、SrTiO3粒界近傍の電位分布変化を測定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NbドープSrTiO3バイクリスタル粒界を含み、針状サンプルを作製とともに、観察対象試料を均一厚さにする試料薄片化条件とFIBダメージ除去条件を見いだすことができた。この条件の場合、EELSの測定からSrTiO3のTiの価数が4価であるため、薄片化後もSrTiO3の構造を保っている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のような針状試料に仕上げたサンプルについて、ピエゾ駆動の電圧印加ホルダーによりSrTiO3粒界領域に電圧を印加し、電流-電圧測定とともに、電子線ホログラフィーを用いて、SrTiO3粒界近傍の電位分布変化を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
電子線ホログラフィーによるSrTiO3粒界の電位分布評価とともに、TEMサンプルに仕上げた針状サンプルもしくは、薄膜サンプルの3次元構造を解析する必要がある。そのため、H24年度未達分は、SrTiO3粒界の三次元構造を構築するための計算機を購入する。H25年度支給額分の研究費は当初の計画に沿って使用する。
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