研究課題/領域番号 |
23560796
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
北浦 守 山形大学, 理学部, 准教授 (60300571)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シンチレーター / 透明セラミックス / 電磁波加熱 / 放射線 |
研究概要 |
本研究では,高出力ミリ波・サブミリ波を用いた電磁波加熱によりPr3+:Lu3Al5O12(Pr:LuAG)セラミックシンチレーターを作製し,電磁波加熱の有効性を検証するとともに,高い発光出力と速い時間応答を実現するセラミックシンチレーターを開発する.遠赤外電磁波を利用した加熱では物質全体をムラなく急速に加熱できるので,発光イオンが拡散して結晶粒界に到達する前に緻密化を終えることができる.そのため,結晶粒界で偏析しないように高濃度の発光イオンを添加できるので,単結晶を凌駕する発光出力がセラミックスシンチレーターにおいて期待できる. 母体のLuAGは透明セラミックが得られやすい立方晶である。従って,Pr3+:LuAGは,電磁波加熱による透明セラミックスシンチレーターの作製法を確立するために最適な物質である.研究初年度にはまずこのPr3+:LuAGのグリーン体を作製する最良の方法を検討した。その結果、スリップキャストを行なった後に静水圧プレスして成形体を得るのがより良い方法であることを明らかにした。これは、真空脱気の過程を経たことによって試験片内部から気泡が除去されたためである。また、MgOやTEOSを添加して作製した試料において焼結助剤の有効性を検証する前準備として空気中で仮焼成を行ったところ問題なく作用することを確認した。現在は、本焼結に至るプロセスの細部を最適化している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高出力電磁波焼結装置が突然故障したため、当初計画していた電磁波照射の有効性検証試験は残念ながら行うことができなかった。その後問題箇所が明らかになったので、修理が行なわれており、回復次第、電磁波照射試験を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
高出力電磁波照射装置が回復次第、本焼成に至るプロセスの細部を最適化するための検証試験を行う。これと平行して汎用マイクロ波照射装置を改造して同様の試験もまた行なう。よりよい透過率を示した試料は、透過型電子顕微鏡やエネルギー分散型蛍光x線分析装置を用いて発光イオンの偏析抑制の効果を検証する。また、固体レーザーを用いて発光特性を測定して偏析抑制効果を検証するとともに、アンチサイト欠陥の抑制効果についても検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
補助金の大部分は、福井大学への旅費として使用する。本研究を推進するためには、高出力電磁波照射装置が必要不可欠であり、その設備を保有するのは国内で福井大学のみである。また、実際の照射実験は長時間におよぶため、その運転に対するオペレーター謝金も計上した。その他の補助金は、実験に使用する試薬や試料の購入のために使用する。
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