研究課題
本研究では,ナノ構造材料の創製や短波長域の分光学において開発が切望されている全固体型超短パルス深紫外レーザーの開発を最終目的として,系統的にマトリクス組成を変化させたPr3+ドープガラスを調製し,Pr3+の深紫外蛍光強度とガラス組成の関係を明らかにし,最適ガラス組成を決定するとともに,Pr3+の深紫外蛍光機構を解明する基礎的研究を行う.さらに,最適化したPr3+ドープガラス組成について,実用化へ向けたレーザー特性の評価を行う.今年度においては,マトリクス組成を最適化させた20Al(PO3)-80LiF(APLF80)にPr3+をドープし,レーザー特性に関する基礎的物性評価を実施した.APLF80ガラスドープしたPr3+のエネルギー準位について,Pr3+ドープLiCaAlF6結晶と比較して,自然科学研究機構分子科学研究所の極端紫外光研究施設(BL7B)を活用して,詳細に検討した.APLF80ガラスにドープしたPr3+の5d準位は4f軌道の1S0準位よりも低エネルギー側に広がって存在していることが明らかとなった.この広がりによって,4f5d→4f2遷移に基づく250 nm 付近に蛍光を示した.250 nm 帯蛍光とともに,1S0→4f準位間での紫外蛍光が400 nm付近に検出された.バンド幅が広く蛍光寿命が短い250 nm 帯蛍光と400 nm帯蛍光の強度比は,Pr3+濃度の増加に伴い増大した.濃度消光も考慮すると最適なPr3+ドープ量が2 mol% であることを見出すことに成功した.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Optical Materials
巻: 35 ページ: 1962-1964
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Japanese Journal of Applied Physics
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