研究課題
1)研究成果の具体的内容:平成23年度と24年度の研究成果として電池特性の高い炭素小球体の作製条件や加熱処理温度がほぼわかった。平成25年度の目的は、(i)炭素小球体を用いてコイン型セルを試作して電気化学測定を行うことと、(ii) 電池としての性能を結晶構造や細孔構造の測定結果と併せて評価することである。具体的な取組み結果は以下の通りである。i) 100~2000 mA/gの電流密度で繰返し充放電を行い、セルの安定性、エネルギー密度や放電容量、高速充放電等について調べた。対照試料の黒鉛セルは電流密度が100 mA/gから2000 mA/g に増加すると比容量(mAh/g)が10%にまで急速に低下したのに対して、本研究による1000℃で処理した炭素小球体では47%までの低下にとどまり、急速充電が黒鉛セルに比べて可能であることがわかった。ii) 800℃~2500℃の加熱処理温度と結晶構造、細孔構造の変化と充放電特性との関係を調べたところ、1500℃以上では細孔が著しく減少するに対して、結晶構造はガラス状炭素から易黒鉛化性の積層構造の発達が認められた。充放電曲線の測定では加熱処理温度が低いほど不可逆容量が大きく、電流密度に対する比容量の変化も大きいことがわかった。比容量の値は800℃処理炭素小球体の値は黒鉛の372 mA/gよりも高い583 mAh/gを示した。2)意義と重要性:リチウムイオン二次電池用負極材としては高エネルギー密度化と急速充電が課題である。今回、トンネル型の孔を有して粒子径が1-2μmに揃った炭素小球体を作製することによって、黒鉛電極より急速充電による比容量の低下が低い電池特性が測定された。また、1000℃以下の炭素化処理で高エネルギー密度化が測定されたことから、リチウムイオンの吸蔵特性向上が今後の課題となることがわかった。
すべて 2014 2013
すべて 学会発表 (7件) 図書 (1件)