研究課題/領域番号 |
23560811
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
解 栄軍 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (00370297)
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研究分担者 |
西村 聡之 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50354428)
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キーワード | 蛍光体 / 窒化物 / 温度特性 / 白色LED |
研究概要 |
酸窒化物蛍光体は、硫化物や酸化物蛍光体に対する優れた発光特性や熱安定性が持ち、青色LEDと組み合わせて固体照明への応用として注目されている。一方、蛍光体の結晶構造、化学組成およびプロセスは、温度特性に大きな影響を与えると考えられている。本研究には、既存の酸窒化物蛍光体に対し、温度特性における結晶構造および化学組成の影響を調べるともに蛍光体の発光スペクトルおよび温度消光動エネルギーを分析し、温度消光メカニズムを解明することを目的とする。さらに、バンドギャップエンジニアリングや表面修飾など手法を活用し、酸窒化物蛍光体の耐久性の向上を図る。今年度の研究実績は以下の通りである。 1)固溶体化処理による酸窒化物蛍光体温度特性の改善 赤色蛍光体(Ca,Mg)SiN2:Euおよび(Ca,Sr)SiN2:Euを合成して、CaSiN2:Euの温度特性におけるMgやSr置換量の影響を調べた。XRD測定の結果、SrおよびMgの溶解度はそれぞれ50%と10%である。CaSiN2:Euの温度特性は、Sr置換またはMg置換のいずれかによって改善することがわかった。CaにSrやMg置換するにより、発光スペクトルはブルーシフトし、発光強度も増加する傾向にあった。 2)表面酸化による酸窒化物蛍光体耐久性の向上 赤色蛍光体Sr2Si5N8:EuおよびCaAlSiN3:Euを選び、200-500oCで空気中処理して蛍光体表面を酸化した。蛍光体粒子表面の化学元素を分析すると、酸素量がかなり増えているが、不純物相が検出されないことを確認した。 蛍光体と青色LEDと組み合わせてパケッジを作って、85oC/85%RH条件で劣化実験を行い、耐久性を評価した。Sr2Si5N8:Euに比べて、酸化されたCaAlSiN3:Eu蛍光体の劣化が大幅に減少した。酸化処理による蛍光体粒子の表面欠陥や状態が改善されることを推測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究において合成した多くの酸窒化物蛍光体を活用した各種測定実験に関してはほぼ当初予定していた項目について実施することができており,概ね良好な結果を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度に以下のように研究を行い、酸窒化物蛍光体の熱劣化メカニズムを解明し、バンドギャップエンジニアリングや表面修飾など手法を活用し、高耐久性酸窒化物蛍光体を開発する。 1)赤色蛍光体CaAlSiN3-LiSi2N3固溶体を合成し、温度特性における固溶量の影響を調べる 2)La-Si-N系(LaSi3N5、La3Si6N11)蛍光体の温度特性と組成の関係を検討する 3)Ba-Si-O-N系(Ba3Si6O12N2、Ba3Si6O9N4、 BaSi2O2N2、BaSi6ON8)蛍光体の温度特性と組成・結晶構造の関係を明らかにする 4)構造解析やシミュレーションを通して酸窒化物蛍光体の熱劣化メカニズムを解明する
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次年度の研究費の使用計画 |
1.消耗品-窒素ガス、試薬品、BN坩堝、手袋、マスクなど(JPY300,000) 2.旅費- Phosphors safari 2013, Jeju, 韓国(JPY150,000) 3.物品-光源(JPY300,000)
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