研究課題/領域番号 |
23560814
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
荒井 康智 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究員 (90371145)
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研究分担者 |
伊藤 恵司 岡山大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80324713)
丸山 健二 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40240767)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 |
研究概要 |
希土類チタン及びニオブ酸ガラス(Ln2O3-TiO2,Ln2O3-Nb2O5)について無容器法でガラスを合成するとともにガラス化範囲を決定し,中性子回折・放射光X線回折実験,EXAFS測定についてKEK-NW10Aのビームラインのマシンタイムを獲得した為,ガラス中の希土類金属-酸素の相関について実験的に明らかにした.また,これまでのNbO5リッチ組成とは異なり,ランタンリッチ組成の3La2O3-2NbO5ガラスの合成に成功した. KEK-NW10Aにて,放射光実験を実施しLaNbxOy ガラス中のNb-Oについて2shellモデルでのフィットを実施した.このLa-Nb系ガラスのNb-OのFTからは,Nb-O分布の平均結合距離とみられるピークが,Nb組成の増加に伴いブロード化する傾向が見られた.このFTピークのNb-O(1.35 Å)について解析した結果,x = 1.7, 2: 1.91 Åとx = 3: 1.94 Åが得られた.しかし,結合距離の誤差が約±0.1 Å大きい.これらの結果から,EXAFSのみでの解析は難しく,中性子実験を組み合わせてNb-O分布を導出する必要がある.また,Sm4Ti9O24ガラスについても,KEK-NW10AでEXAFS測定を実施した.Sm-O距離2.39 Å,配位数9.6,Ti-O距離1.92 Å,配位数5.1が得られた.しかし,Sm-Oについてはやはり配位数の誤差が±2程度と大きく,高精度の屈折率計算にはさらに進めた解析が必要である.また,本研究成果により共同研究者の新潟大学丸山研究室にて修士論文が提出された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたガラス構造解析と屈折率計算について,LaNbxOyガラス及びSm4Ti9O24ガラスについて,KEKの放射光を利用することにより,EXAFSによってガラス構造解析を実施した.また,La-Nb-O系ガラスでは,0.4La2O3-0.6NbO5のLa2O3リッチガラス合成に成功した.これらの成果から,放射光X線回折実験のみでは困難であったSm-OとLa-Oの配位数と平均結合距離を同定することができた.さらに,配位数の誤差も判明した.以上から放射光実験での構造解析を利用した,屈折率の計算精度を推定される.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針,昨年度の放射光EXAFSを利用した結果から,屈折率計算に大きなウェイトを占める希土類-酸素の配位数と結合距離情報について,特に配位数とその結合分布を少ない誤差で得るために,中性子回折実験を実施したい.直接的に金属-酸素を得るために,中性子回折実験で利用する実験試料は,Sm及びTiの安定同位体を活用する.なお,中性子回折実験は,J-parcのNOVAスペクトロメータ及びISISのGEMスペクトロメータに提案する予定である.本実験結果により,Sm-O+O-O及びTi-O+O-Oの2体分布が判明すると期待される.このO-OはOイオン半径が大きくかつ同種ionであることから,Sm(Ti)-Oの分布と殆どオーバーラップしないことが期待される.この実験から精緻な金属-酸素の分布と結合距離が得られることが期待される.これにより構造モデルに依存しない屈折率計算が可能になることが期待される. 前年度新規に合成ガラスでは屈折率波長依存性測定を実施し,構造モデルフリー屈折率計算法について理論的検討を引き続き実施する.この検討では,特にモル体積に土江の検討が必要になる.ここでは,金属-酸素の結合距離に依存した部分モル体積を新たに定義するなどして計算方法を検討したい.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究方針を反映し,中性子実験用試料及び実験に必要な容器などを購入する.・中性子実験用のバナジウム箔容器の製作など消耗品・中性子実験用のSm2O3等の実験試料調達・その他消耗品類
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