研究課題/領域番号 |
23560815
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
石井 啓介 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 准教授 (30257208)
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研究分担者 |
木村 敏夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70090040)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 圧電セラミックス / 圧延配向法 / テンプレート粒成長法 / 非鉛材料 / ペロブスカイト |
研究概要 |
1、圧延配向法に不可欠なKNbO3系材料のテンプレート粒子を得るため、良質な板状NaNbO3単結晶粒子を効率良く作製する手法を確立した。板状NaNbO3単結晶粒子の作製法として従来より採用されてきた2段階溶融塩法では、多結晶体の板状NaNbO3粒子が得られやすく、また、Bi成分除去のため酸洗浄が必要であった。これら短所を有しない1段階溶融塩法による板状NaNbO3粒子作製法が最近開発されたが、作製容器の損耗が激しく、収量も極めて限られていた。本研究では、白金ルツボで作製する際に原料薬品調合比を最適化することで、上記の問題を解決した。本成果により、代表的非鉛圧電セラミックスであるKNbO3系材料の性能を向上するための粒子配向制御に欠かせない、高品質の異方性単結晶を簡便に量産することが可能となった。2、針状結晶粒子が得られるタングステンブロンズ構造強誘電体セラミックスの粒子配向制御をおこなうため、回転圧延法を新たに開発した。この手法では、円筒形状に成形された粘土状グリーン材を転がしながら細く延ばすことにより、内部の針状結晶粒子をグリーン材の長さ方向に配向させた。従来のテープキャスティング法では、針状結晶の整列方向に対し垂直な方向に大きな寸法を有する粒子配向セラミックスを作製することが困難であった。この手法により厚さ方向にc軸配向した長さ30mm以上の矩形形状で配向度90%を超える高配向セラミックス試料を得ることが作製可能になった。このことにより、非鉛材料であるタングステンブロンズ構造強誘電体セラミックスの実用化が大きく前進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KNbO3系単結晶粒子では当初予定していた立方体結晶粒子よりも配向制御のしやすい良質な円板状結晶粒子を安定的に作製する手法が見出された。この粒子を用いて、配向制御の基礎的な予備調査をおこなった。また、針状結晶の得られる材料についても圧延による配向制御法を確立できた。このため、初年度の目標をほぼ達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
予想外の成果である良質なKNbO3系単結晶粒子作製技術の開発を活かし、これを用いた非鉛ペロブスカイト系圧電セラミックス作製手法を確立する。これに加え、当初の研究計画に則り、立方体形状のテンプレート結晶粒子による配向技術確立を始めとした各セラミックス材料について圧延条件の最適化を計る。高粒子配向セラミックスが得られた材料については、圧電諸特性の評価を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
突然寿命を迎えた研究室所有のLCRメータを更新するため、初年度の研究費には予定外の支出が加わった。一方、初年度大量に購入予定であった電気炉の発熱体については手持ちのストックを活用出来たこと、同じくルツボについても現有品を用いて節約したため、最小限の購入で済んだ。このことにより、研究費に一部残額が生じた。次年度以降は、当初の研究計画通り、発熱体、原料試薬、切断研磨用品といった主として消耗品に研究費を充当する予定である。
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