研究課題/領域番号 |
23560821
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
遠山 暢之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (60344165)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 超音波探傷 / 非破壊検査 / 構造ヘルスモニタリング / 複合材料 / 衝撃損傷 / ラム波 / 圧電素子 |
研究概要 |
本研究では、CFRP積層板に内在する約1インチ径の衝撃損傷を、一箇所のみに配置した超音波アレイセンサを用いて検出・位置同定することが可能な全方位損傷モニタリングシステムを開発することを目的としている。本年度は、本システムを実現するための基盤技術となる超音波探傷に最適な励起周波数とラム波モードの選定、さらに指向性を有する圧電素子形状の設計を行った。 まず被検体として用いる厚さ1および2mmのCFRP積層板を伝播するラム波のモードを把握するために、ラム波分散曲線を理論的に導出し、高次ラム波モードの遮断周波数を導出した。高次モードおよび分散の影響を低減させることで、検出波形の複雑化を避け、信頼性の高い探傷を実現するために、遮断周波数以下の狭帯域トーンバースト波を励起信号して決定した。さらに損傷検出には短波長が有利であることから、遮断周波数以下で存在するゼロ次対称モードおよびゼロ次非対称モードのうち短波長のゼロ次非対称モードを選定することとした。 次に選定した周波数のゼロ次非対称モードを効率的に送受信することが可能な圧電セラミックス素子の形状を設計した。長手方向のサイズをゼロ次非対称モードの半波長に等しくし、幅方向および厚さ方向のサイズを長手方向のそれに比較して著しく短くした高アスペクト比形状にすることによって指向性を発現させることとした。 以上の指針を基にCFRP積層板上に設計・作製した一対の圧電素子を貼り付け、ラム波ゼロ次非対称モードの送受信を行い、検出信号が十分なSN比で衝撃損傷のエコーが得られることおよび圧電素子が十分な指向性を有することも併せて確認した。さらに超音波映像化技術を用いて衝撃損傷部を伝播するラム波の挙動を可視化することで解明することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科学研究費補助金および産業技術研究助成事業等の助成を通じて、一貫してCFRP積層板の損傷モニタリング技術に関する研究を遂行してきてきたため、本研究の基盤となるラム波伝播特性、CFRP積層板の損傷形態、圧電素子特性等に関する知識とそれらの評価技術を有しており、さらに超音伝播映像化技術を併せ持つことから、交付申請段階において妥当な研究計画を立てることができ、また想定通りに研究が進捗したため。
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今後の研究の推進方策 |
複数の指向性受信素子を配置した放射状アレイセンサ網を構築し、中央部に全方位に等方的にラム波を放射できる円盤状の発信素子を配置したアクティブセンシング用の発信・受信アレイを設計・作製する。また、励起されたラム波の伝播挙動を超音波映像化技術を用いて可視化し、アレイセンサの最適設計にフィードバックさせる。さらに衝撃損傷の方位を定量的に導出する手法およびセンサ-損傷間距離を導出する手法を開発し、最終的に両者を組み合わせた衝撃損傷の位置同定手法を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の予備実験を行うために、予め保有していた圧電素子を初年度の研究計画課題にそのまま適用することができたため、当初予定していた圧電素子購入費分が次年度使用額として発生した。次年度以降に放射状アレイセンサ網および発信素子として使用する圧電素子の購入に研究費を重点的に使用する計画である。また得られた研究成果について学会発表および論文発表するために英文校正費、旅費として使用する計画である。
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