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2011 年度 実施状況報告書

カーボンナノチューブを用いた高分子アクチュエータの高機能化

研究課題

研究課題/領域番号 23560822
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

杉野 卓司  独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (50357266)

研究分担者 清原 健司  独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (30344188)
安積 欣志  独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究グループ長 (10184136)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードカーボンナノチューブ / イオン液体 / アクチュエータ / 導電性添加物 / ポリアニリン / カーボンブラック
研究概要

本研究課題では、カーボンナノチューブとイオン液体および支持高分子からなる電極膜の伸縮現象を利用したアクチュエータの高機能化を目的として研究を進めている。今年度は、電極膜中の成分組成を調整することにより、アクチュエータの性能パラメータである伸縮率、発生力、応答速度の最適化を行った。まず、添加物として導電性ナノ粒子であるポリアニリンとカーボンブラックの添加を試みた。電極膜中のカーボンナノチューブとイオン液体および支持高分子の量を固定し、導電性添加物の添加量を変えてアクチュエータ性能を調べたところ、変形応答は添加量のみならず添加種により大きく変化することが明らかになった。導電性添加物を加えた電極膜の電気化学特性と機械的特性として、それぞれ、キャパシタンス、導電率およびヤング率を調べた。ポリアニリンを添加した場合、電気化学的特性及び機械的特性とも添加量を増やすほど増加することが明らかになった。一方、カーボンブラックを添加した場合は、キャパシタンスは添加量が増えると大きくなるが、導電率及びヤング率は添加し過ぎると逆に低下することが分かった。以上のことから、導電性添加物の中でもポリアニリンを添加したほうが伸縮率と発生力を同時に向上できることが分かった。そこで、添加物をポリアニリンとし、上記で最適化されたポリアニリン添加量を基準として、イオン液体種、添加するイオン液体量、さらに、素子厚を最適化した。その結果、例えば、0.1Hzでは、イオン液体としてEMIBF4が最適であり、添加量としては電極膜中の組成比で57wt%程度添加することにより、300μm程度の厚みのアクチュエータ素子(素子サイズ:2mm(幅)×10mm(長さ))で0.4mm程度の変形量、1g以上の発生力を達成することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要でも述べたように、今年度開始当初予定していた電極膜の成分比を調整することによりアクチュエータ特性を最適化するための条件を見出すことができた。その結果、開始当時に比べ、発生力をほぼ落とすことなく、伸縮率を2倍程度向上させることに成功した。その成果を国内外の学会で発表し、プロシーディングスにまとめた。その他、特許(1件)を出願した。また、種々のイオン液体を電解質として試すことにより、変形応答のメカニズムについても知見を得ることが出来た。

今後の研究の推進方策

今年度、アクチュエータ作成条件を最適化し、発生力を向上させるために厚膜化を試みた。しかし、単純な厚膜化では、発生力は向上するものの、それに伴い伸縮率が減少してしまう。そこで、次年度以降は電極薄膜の積層化による性能の向上を図る。積層化の方法および電圧の印可方法を工夫することにより、性能のさらなる向上を目指す。また、キャパシタンス測定など電気化学的特性を詳細に調べることにより、変形のメカニズム解析とモデル化を行う。

次年度の研究費の使用計画

今年度同様、次年度も多くは消耗品の購入に当てる。他の使用計画としては、研究成果の発信ため国内外の学会参加費等に使用する予定である。また、その他の経費として外部の文献複写等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] CNT/conductive polymer composites for low-voltage driven EAP actuators2012

    • 著者名/発表者名
      Takushi Sugino, Yoshiyuki Shibata, Kenji Kiyohara, Kinji Asaka
    • 雑誌名

      Proceedings of SPIE, Vol.8340: Electroactive Polymer Actuators and Devices (EAPAD) 2012

      巻: 8340 ページ: 83400T-1-8

    • DOI

      10.1117/12.914759

    • 査読あり
  • [学会発表] CNT/conductive polymer composites for low-voltage driven EAP actuators2012

    • 著者名/発表者名
      杉野卓司、柴田義之、清原健司、安積欣志
    • 学会等名
      2012 Smart Structures/NDE: Electroactive Polymer Actuators and Devices (EAPAD) XIV
    • 発表場所
      米国、サンディエゴ、Town&Country Resort and Convention Center
    • 年月日
      2012 – 314
  • [学会発表] カーボンナノチューブアクチュエータの高機能化:導電性添加物の効果2011

    • 著者名/発表者名
      杉野卓司、柴田義之、清原健司、向 健、安積欣志
    • 学会等名
      第60回高分子討論会
    • 発表場所
      岡山県、岡山大学津島キャンパス
    • 年月日
      2011 – 928
  • [産業財産権] 炭素電極を用いたアクチュエータ2012

    • 発明者名
      杉野卓司、安積欣志、高橋功、高塚智正、三森健一、芳賀宣明
    • 権利者名
      産業技術総合研究所、アルプス電気株式会社
    • 産業財産権番号
      特許: 特願2012-79763
    • 出願年月日
      2012年03月30日

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公開日: 2013-07-10  

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