研究課題/領域番号 |
23560824
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
後藤 健 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | セラミックス / 複合材料 / 燃焼器 / スラスター |
研究概要 |
信頼性の高い耐熱複合材料であるSiC/SiC複合材料を用いたスラスターの開発を進めているが、1700℃以上では著しい減肉が発生してしまい、使用できないことも同時に明らかになった。そこで、本研究ではSiC/SiC複合材料が使用できない高温領域で使用可能な、セラミックス複合材料の開発を実施している。平成23年度は(1) Zr、Y、Hfを添加した耐酸化・耐水蒸気マトリックスの創製、及び(2)平板形状試験片の作製に取り組んだ。(1) Zr、Y、Hfを添加した耐酸化・耐水蒸気マトリックスの創製:現在の最高使用温度1600℃、ガス透過性ありといったセラミックス複合材料を耐酸化・耐水蒸気特性に富むマトリックスセラミックスの開発により、1800℃以上での使用を可能とするものである。また、ガス透過量を低減することで耐酸化・耐水蒸気特性を向上させると同時に、燃焼ガスの漏洩による衛星機器の汚染も防止することが出来る。SiCにかわる新たな超高温セラミックスとして注目されているZr、Y、Hfの硼化物や炭化物セラミックスをマトリックスに取り込む手法について検討し、ZrB2、ZrC、SiCの混相マトリックスを持つ炭素繊維強化複合材を候補材料として抽出した。(2)平板形状試験片の作製:上記のプロセス基礎検討を実施した後に、やや大きな100 mm x 100 mm、板厚3 mm程度の平板試験片を製作した。炭素化板にした際の組織の均一化と液相プロセスの均一的な進行による組織内の反応むらなどを起こさないようにし、最終目標のスラスター形状セラミックス複合材料の製作に際して発生しうる技術課題を克服する。ZrB2およびZrCの含有量がことなる複合材を試作し、プロセス条件の調整により大きな亀裂など発生しない平板を製作した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画時に想定した材料選択と平板形状試験片の作製に成功しており、平成24年度の実験計画に取りかかることができる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に予定している小型スラスターの製作および燃焼試験に向けて、平成24年度までに最もよい素材の組み合わせとガス透過防止処置について引き続き試験材料を作製しながら進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に取り組む予定項目は以下の3点である。(1) Zr、Y、Hfを添加した耐酸化・耐水蒸気マトリックスの創製:平成23年度に引き続いて、SiCにかわる新たな超高温セラミックスとして注目されているZr、Y、Hfの硼化物や炭化物セラミックスをマトリックスに取り込む手法について検討する。(2)平板形状試験片の作製:プロセス条件がある程度完成し次第大きな 100 mm x 200 mm 板厚3 mm程度の平板試験片を製作し、特に最終工程の固相含浸プロセスと最終表面のコーティング相を兼ねたマトリックスの均一性およびクラック最小化をめざし、特にガス透過性を低減するための手法を開発する。製作した板を用いて、各種試験を実施する。(3)ガス漏洩特性、機械特性、熱特性の取得:作製されたセラミックス複合材料の組織及び特性変化を調べる。性能が確認され、プロセスが確定し次第特許を申請、研究論文としてまとめる。
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