研究課題/領域番号 |
23560824
|
研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
後藤 健 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (40300701)
|
キーワード | 複合材料 / セラミックス / 燃焼器 / スラスター |
研究概要 |
信頼性の高い耐熱複合材料であるSiC/SiC複合材料を用いたスラスターの開発を進めているが、1700°C以上では著しい減肉が発 生してしまい、使用できないことも同時に明らかになった。そこで、本研究ではSiC/SiC複合材料が使用できない高温領域で使用可能な、セラミックス複合材料の開発を実施している。平成24年度は(1) Zr、Y、Hfを添加した耐酸化・耐水蒸気マトリックスをもつ平板の酸化特性 の取得、及び(2)炭素繊維による小型スラスター織物の製作を実施した。(1)Zr、Y、Hfを添加した耐酸化・耐水蒸気マトリックスをもつ平板の酸化特性 の取得:昨年度試作したZrB2、ZrC、SiCの3相マトリックスを持つ複合材料平板の酸化試験を実施した。ジルコニア発熱体を使用した高温炉での酸化試験では温度の上昇、下降に時間を要することから、端面に露出している炭素繊維が酸化してしまい、うまく酸化特性がはかれなかった。現在、水素/酸素ガスバーナーを用いて酸化試験を実施している。短時間での温度の上昇、下降が可能であり、実際のスラスターの使用環境に近い試験が可能となった。この手法であれば、端面の炭素分のみが優先的に酸化する状況が改善され、複合材料の酸化挙動の把握が可能となることを確認した。(2)炭素繊維による小型スラスター織物の製作:平成25年度を予定している小型スラスターによる燃焼試験を実施するために必要な炭素繊維の織物の製作を実施した。炭素繊維には高強度型PAN系炭素繊維を選択し、3軸ブレーディング織物によるスラスター形状炭素繊維プリフォームの試作に成功した。治具の製作などにおいて、ブレーディング機にあわせた試作のやり直しを数回実施し、安定した織物が製作できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画時に想定した材料選択により酸化試験ができており、平成25年度を予定している小型スラスターの製作に取りかかれる状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度に予定している小型スラスターの製作及び燃焼試験に向けて、平成24年度までに見いだした素材の組み合わせの酸化試験、機械特性、ガス透過防止措置について引き続き試験材料を製作しながら進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に取り組む小型スラスターの製作及び燃焼試験の実施に向けて、(1)小型スラスターの製作:100Nクラスの小型スラスターに使用できるガスシール型超高温耐酸化セラミックス複合材料を用いた燃焼器、ノズルの政策を進める。(2)平板形状試験片による酸化特性の取得:昨年度までに有効性を見いだした水素/酸素ガスバーナーによる酸化試験を進め、最適な組成を選択する。(3)小型スラスターによる燃焼試験:研究の総仕上げとして100 Nクラスの小型スラスターを製作した燃焼試験を実施し、燃焼器としての各種特性を取得する。
|