研究課題/領域番号 |
23560828
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
|
研究分担者 |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | ナノワイヤー熱電変換素子 / 収束イオンビーム / 電極接合 / 国際研究者交流(アメリカ) |
研究概要 |
申請者が作製しているナノワイヤー熱電変換素子は、素子全体が石英ガラスで覆われており1)FIBからのGaイオンビームが直接Biナノワイヤーに照射されず,2)ワイヤー表面の酸化膜の影響を無視できる。そこで FIBを利用してナノワイヤー側部にナノ加工を行い、従来不可能であったナノワイヤー側面へ局所的な電極を取り付ける。 具体的な加工手順として、(1)円筒形の石英ガラスの片側をワイヤーとの距離3μm程度まで研磨によって削り落とす。(2) FIBを照射しつつ石英ガラスをスパッタリングしていく。ワイヤーと石英ガラスの厚さが約300nm程度になるとBiとガラスの二次電子放出率の違いにより、ワイヤーを全く露出させずワイヤー位置を予測することが可能となる。(3)予測したワイヤー位置の脇の石英ガラスをFIBによって除去し、(4)傾斜をかけ非常にゆっくりとFIBを照射する。(5)その結果、ワイヤーの側面が局所的に露出する。(6)局所的にワイヤー側部を露出させた後、FIBを用いてカーボン薄膜を蒸着し、電極接合を行う。(7)石英上部に予め電極パッドを成膜しておき、最終的にワイヤー側面部との配線を行う。以上の加工を収束イオンビームを用いて行い、電極接合を確認した。当初、FIB中の電極材料としてカーボンを選択して、カーボン配線を用いて導通を撮ろうとした所、予想以上に抵抗が大きくなり、電気測定を行う上では問題が残った。そのため、FIB加工後、局所的にカーボン電極を蒸着し、Bi表面が酸化しないようにし、大気解放してタングステン蒸着が扱えるFIBを用いて、タングステン配線を行った上で問題なく導通が得られることを実験的に確認した。 平成23年度は、米国の大学に渡航し集中して装置を利用し以上の加工プロセスを確立した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定したとおりに電極加工ができ、通電の確認も行った。電極接合手法の確立については、平成24年度を予定していたものの、前倒しで計画が実行できた。
|
今後の研究の推進方策 |
電極接合が可能となったため、平成24年度は実際にホール測定などを行う予定である。ここで、単結晶Biの物性値を使って評価すると、ナノワイヤー熱電変換素子を用いたホール電圧はワイヤーの直径に反比例するため、直径1μmでは数nV,直径100nmでは数十nVの電圧を測定する必要がある。通常の直流法では測定が困難であるため、直流磁場と数~数十ガウス程度の交流磁場を印加し、ロックインアンプを使った高感度交流磁場測定システムの開発を行い、サブnVの感度で電圧を測定するシステムを整備する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
加工プロセスが確立したことから、月に1度程度、物質・材料研究機構,理化学研究所,東京大学が所有する収束イオンビームを利用することを予定しており、平成24年度の予算については、この装置利用料などに当てる予定である。
|