研究課題/領域番号 |
23560828
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
長谷川 靖洋 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60334158)
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研究分担者 |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
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キーワード | ナノワイヤー / 熱電変換 / ナノ加工 |
研究概要 |
申請者が作製しているナノワイヤー熱電変換素子は、素子全体が石英ガラスで覆われており1)FIBからのGaイオンビームが直接Biナノワイヤーに照射されず,2)ワイヤー表面の酸化膜の影響を無視できる。そこでFIBを利用してナノワイヤー側部にナノ加工を行い、従来不可能であったナノワイヤー側面へ局所的な電極を取り付けることが該当年度の目標であった。 基本的に石英ガラス中に埋め込まれた形をとるナノワイヤー熱電変換素子に電極を取り付けるためには、ミリスケールの石英部分を除去し、さらにナノスケールでBi上へ加工が必要である。FIBによるGaイオンビームをBi上に照射すると昇華することが知られており、プロセスの開発は困難であることが予想されたものの、石英ガラスをバリア層として利用する手法をとり、局所的に石英ガラスを取り除き、その部分に電子ビームデポジションによる方法でカーボンもしくはタングステン電極の取り付けに成功した。この手法を用いて、直径4μmのBiワイヤーを使ってホール測定を行うことに初めて成功した。直径がまだマイクロサイズであるために、常温付近で評価された移動度についてはバルク素子と同様であったものの、測定が問題なく行えていることの証明にもなった。その結果を受け、直径521nmのナノワイヤー熱電変換素子を用いて、4端子測定電極の作製を行った。ワイヤー直径が小さくなると、素子自体の持つ抵抗が数kΩになるため、2端子法でも測定が問題ないと予想されていたものの、4端子法との比較によって、接触抵抗が無視できないことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直径4μmのマイクロワイヤーではあるものの、その場電極形成やホール測定に成功しており、同様のその場電極形成は直径521nmのナノワイヤー熱電変換素子にも適応済みである。その場電極形成中に問題点が明らかになっているが、それは使用している装置の特性であり、他の装置を利用することによって問題を解決することも明らかになっている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はナノワイヤーを用いたホール測定を行っていく予定である。昨年度はナノワイヤー上への局所電極形成にカーボン電極を用いていたが、アモルファス上であることから接触抵抗が極めて大きく問題であった。このため、局所電極形成にタングステンを用いて、接触抵抗を減らすことを計画している。既に何本かのナノワイヤーで接触抵抗が2桁程度減少可能であることが明らかになっている。また、ワイヤー直径が小さくなると得られるホール電圧が少ないことから、電流と磁場の変調を用いてホール電圧をS/N良く得るための準備を進めている。
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次年度の研究費の使用計画 |
どうしてもナノ加工に時間と予算が取られてしまうことになる。研究中で使用している収束イオンビームは物資材料研究機構ならびに東京大学のものを利用しており、装置利用料として多く予算を確保したいと考えている。 またホール測定用のロックインアンプを購入することを想定して、平成24年度の予算の大部分を持ち越した経緯がある。
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