電子顕微鏡観察と小角散乱測定により、巨大ひずみ加工中に生じるナノ析出物の加工誘起溶解反応は、転位による析出物の切断により生じることが明らかとなった。このことは、切断機構からオロワン機構に移行する臨界半径以上の析出物は巨大ひずみ加工中に溶解しづらいことを示している。よって、臨界半径よりも大きいナノ析出物を予備時効により粒内に分散させた後、巨大ひずみ加工を施すことにより結晶粒を微細化し、その後、低温短時間の再時効を施すことにより、未溶解の析出物を核として粒内にナノ析出物を分散させることが出来た。その結果、析出強化と結晶粒微細化による強化を両立が可能となった。
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