研究課題
今年度は、主にNdFeB 系合金の再検討並びに希土類を含まない組成(MnBi)での細線磁石作製実験を行った。Nd richの組成では、主相の量は増加するものの、溶解金属の流動性がなくなる為、十分な量の細線が得られていない。そのため、回転液中紡糸法でNdFeB細線を作製するには、Nd2Fe14Bの化学量論組成比よりも、Nd含有量を減らした、Nd poorの組成が有利である。しかしながら、NdFeB系細線化が可能であったNd6Fe79B15[wt%]、Nd4.5Fe77B18.5[wt%]の組成において、高保磁力は発現せず(Hc ≦1 [kOe])、同組成の薄帯試料と比較すると、1/4~1/5程度であった。これは回転液中紡糸法において細線化する際の溶融金属の冷却速度が遅く、結晶粒が粗大化してしまうことが主な原因だと考えられた。そこで、急冷速度の向上を目指して冷却液の温度を極力下げドラムの回転数を上げる検討を行った。また、保磁力の向上や結晶粒の微細化のための第4元素の添加の検討を行った。冷却液の温度を3℃まで変化させたところ、ドラムの回転数が6.8~7.3 [m/s]で細線が作製できたが、保磁力は500[Oe]程度であった。第4元素としては結晶粒の成長を抑制するため、Tiを添加した(Nd6Fe79-XB15TiX,X=2~6) [wt%]。Tiを添加することで保磁力は1.3倍程度上昇し、650℃1時間の熱処理で最適化したが目標値には達しなかった。一方、非鉄系のMnBiについては、単ロール法でまず薄帯化し、条件の抽出を行った。薄帯化した試料では、5 [kOe]以上の保磁力が得られ、文献等と同等な特性を示した。回転液中紡糸法による細線化にも成功したが、非常に脆く、VSMでの測定では軟磁気特性を示している。今後熱処理により、薄帯と同等な特性が得られるかを検討する予定である。
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Journal of the Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
巻: Vol. 21, No. 4 ページ: 45-48