研究課題/領域番号 |
23560849
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研究機関 | 鈴鹿工業高等専門学校 |
研究代表者 |
南部 智憲 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10270274)
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研究分担者 |
松本 佳久 大分工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40219522)
湯川 宏 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50293676)
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キーワード | 水素 / 金属物性 / 構造・機能材料 / エネルギー効率化 |
研究概要 |
Pd系水素透過合金膜では、膜表面にFe2O3などの金属系酸化物粒子が付着すると、粒子周囲にガスリークの原因となる溝状の欠陥が形成される。Pd系水素透過合金膜の長期耐久性能を向上させるために、溝状欠陥を形成しないPd系水素透過合金の設計開発が求められている。平成23年度では、周期表第5、6族金属をPdおよびPd-Ag系合金に微量添加することによって溝状欠陥の形成を防止できることを明らかにした。そこで平成24年度では、周期表第5、6族金属以外の金属元素の添加による溝状欠陥の形成防止効果を調査した。 Pd-25mol%Ag-1mol%M(M=周期表第5、6族金属以外の金属元素)合金をアーク溶解し、得られたボタンインゴットの均質化熱処理、圧延加工、および歪み取り熱処理を行い、厚さ約0.2 mmの板状試料を準備した。板状試料より、5mm×5mm×0.2mm角の試験辺を切り出し、表面にFe2O3粒子を塗布して773 Kの水素中で熱処理した。熱処理後のFe2O3粒子周囲の形態変化をSEM観察した結果、添加元素Mによって①Fe2O3粒子周囲に溝状結果を形成する、②Fe2O3粒子近傍の結晶粒界が広がる、③Fe2O3粒子が付着しても欠陥を形成しないという3種に大別でき、周期表第5、6族金属以外にもFe2O3粒子付着による溝状欠陥の形成防止効果を有する元素が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度はPd-25mol%Ag-1mol%M(M=周期表第5、6族金属以外の金属元素)合金を溶製し、Fe2O3粒子付着による膜劣化防止効果を評価することを目的とした。これらの目的をおおむね達成し、周期表第5、6族金属以外にも膜劣化防止効果を有する元素が存在することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後、新たに発見された膜劣化防止効果を有する元素を添加したPd-Ag系合金膜の水素透過試験を行い、水素透過能に及ぼす膜劣化防止元素の添加効果を調査する。また、これまで見出された膜劣化防止元素について、Pd-Ag系合金膜の機械的性質に及ぼす添加効果を調査する。これまで得られたFe2O3付着に対する耐性、水素透過能、および機械的性質を総合的に解析し、長期耐久性能に優れるパラジウム系水素透過合金膜の機能設計に有効な指針を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、新たに発見された膜劣化防止効果を有する元素を添加したPd-Ag系合金膜の水素透過試験を行い、水素透過能に及ぼす膜劣化防止元素の添加効果の調査、ならびに機械的性質を調査することを目的としている。そこで研究費を主に金属原料の購入、合金試料の溶解、加工、水素透過試験、ならびに機械的性質の評価にかかわる消耗品費に充てる。また、研究成果の公表にかかわる旅費ならびに論文投稿費に充てる。
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