研究課題/領域番号 |
23560850
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
阿部 太一 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (50354155)
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キーワード | カルファド法 / 耐熱鋼 / 複合窒化物 |
研究概要 |
23年度で行ったZ相とZ相に関連する原子配置を持つ化合物の生成エネルギーの理論計算を、CrやNb、VなどのZ相を構成する主要元素に加え、それ以外の元素(たとえばTa、Wなど)も対象として広く行った。特にTaを多く含むZ相は、近年デンマークのグループで積極的に高Cr耐熱鋼において高温域での強化に利用できるかどうか、その可能性の検討が進められており、Ta系のZ相のエネルギー計算の重要性は高いと考えられる。計算の結果TaやWを含むZ相(CrTaN、CrWNなど)の生成エネルギーは、既に観察されているCrNbNやCr(Nb,V)Nなどのほかの組成のZ相に比べて負で大きく、すなわちZ相の構成元素の中では最も安定であることが明らかになった。これらの化合物の計算と並行して、高Cr耐熱鋼における析出予測のためのデータベースには、それらが析出するマトリック(すなわちオーステナイト相とフェライト相)のギブスエネルギーも必要となる。本年度ではこれまでの熱力学データを再検討・熱力学解析を行い、主要構成元素であるFe-Cr-Niに対してデータベース化を行った。またこれからのデータベースの多元化への展開に向けて、既存のFe-X二元系の状態図計算データベースを解析・集録している。これらの成果は、ウェブサイト「NIMS熱力学データベース」を通して公開すると共に、あわせてFe基合金に関する国際会議(ISSS2012)などで積極的に報告を行った(口頭2件、プロシーディングス1件)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年までにZ相を含む鉄基合金における析出などの組織解析の基礎データとなる、ギブスエネルギーデータベースの作成を目標にしており、この二年間で、Fe基合金データベースの作成、Z相に対する理論計算共にデータの蓄積が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
実験データとエネルギー計算結果を統合して、熱力学アセスメントを行い、実用材の組織変化予測の基盤となるデータを提供する。最終年でも有り、積極的に得られた成果を取りまとめ広く発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は主に論文投稿費用や会議参加費用・旅費、そのほかの雑費としての使用を考えている。
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