研究課題
最終年度ではある本年は、次の2点について重点的に研究を行った。1)Z相、MX相の構成元素の拡張を行った。これまでは4a族以降の遷移金属元素を対象としていたが、Y族も対象に加えて、生成エンタルピーの第一原理計算を行った。この結果、Ta族元素と比較しても、これらの構成元素を含むZ相の生成エンタルピーは負では大きく、すなわち相安定性が高いことが明らかとなった。この結果は高Crフェライト系耐熱鋼はこれまでMXにより主に強化されてきたが、3a-5a族元素を含むZ相も積極的に強化因子として利用できる可能性を示唆するものである。2)これまでに第一原理計算とカルファド法による熱力学解析により得られたギブスエネルギーを基に、多元系鉄基合金状態図データベースの構築にする作業に多くの時間を割り当てた。母相となるbcc相の置換型雇用における熱力学的記述の高精度化を行うと共に、侵入型固溶に関しても検討した。すなわち、鉄基合金にはC、N、B、Oなどの侵入型固溶元素が必ず含まれてくるが、これまでのカルファド法によるアセスメントでは、そのモデリングに異なる熱力学モデルが用いられてきた。それらの熱力学解析結果を統合するには、熱力学モデルを統合しなければならない。これが侵入型元素を含む多元系データベースの構築において大きな問題であった。この困難さを解決するため、異なる侵入型固溶体に対する熱力学モデル間のパラメーター変換式を導出した。また、これまでに得られた成果は、ウェブサイト(NIMS熱力学データベース)を通じて無償で公開し、広く成果の普及に努めた。
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日本金属学会誌
巻: 78巻
Calphad-Comput. Coupling Ph. Diagrams Thermochem, Reviewed
巻: Vol.45 ページ: 40-48
10.1016/j.calphad.2013.11.006
www.nims.go.jp/cmsc/pst/database/priodic.htm
www.nims.go.jp/cmsc/pst/database/OpenCalphad/opencalphad.htm