研究概要 |
ウルツ型窒化アルミニウムの層間に発光中心が層状置換することが確かめられているが、発光層の数や配列など制御は困難であった。従来の点置換型と異なる新しいタイプの蛍光体に関して、詳細な構造を調べ、原料や合成プロセスの変更で発光強度の増大を図るとともに、窒化アルミニウム以外として炭化ケイ素を含む系にも展開することを試みた。 発光中心にEuを用いて合成条件を最適化することで、これまではTEMの局所構造分析でしか観測されなかったEu層が、平均構造分析であるXRDでも確認でき、一部混在はあるものの積層周期の異なる層の作り分けも可能となった。これまで得られていたTEM像との比較により、積層欠陥型蛍光体ではEu層は出発組成より密な部分と疎な部分に分かれる様子が解析された。これまでのTEM観察では層に垂直なa,b軸方向のみであったが、層の平行なc軸方向からTEM観察を行ったところ、Eu発光中心のab面内での分布状態が明らかになり、予想された構造と一致するものであった。ウルツ型で極性の反転の役割を担う構造についても詳細に観察した。また層状構造が見当たらない生成物でもEuから類似の青色発光が確認されていることから、積層置換以外でもウルツ構造中で青色発光するEuの存在が示唆された。 窒化アルミニウム以外の母体である炭化ケイ素原料について共添加元素を用いて合成を進めたが、残留炭素の影響が強いためか生成物から明瞭な発光は観測されず、希土類発光中心が炭化ケイ素構造中に取り込まれている様子は確認できなかった。
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