ブロンズ法Nb3Sn線材では、原料ブロンズのSn濃度が線材性能を規制しており、15.8 mass%Snを超えると粗大なδ相が析出して、塑性加工性が著しく低下する。本研究では、Ti添加と熱間鍛錬を組み合わせた組織制御法により、数ミクロン径のTi化合物粒子が分散して冷間加工性が改善した新しい高Sn濃度ブロンズ(18.5 mass%Sn)を開発した。これを原料に228芯及び11077芯の多芯線材を試作し、Nb3Sn層あたりの臨界電流密度は4.2 K、12 Tで2800-3000 A/mm2の臨界電流密度が得られて、実用ブロンズ線材(16 mass%Sn)より1.5倍の高い値であることを明らかにした。
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