鋳造欠陥の少ない鋳造アモルファス合金の製造を実現するために、吸引鋳造の鋳造速度制御や、傾角鋳造の自動化および炉床の形状最適化を行ってきました。改善の結果、従来の同じ鋳造法に比べてボイドや湯境などの外観上、目に見えて判断できる大きな鋳造欠陥については軽減することが出来ました。これらの成果を踏まえて、幾つかの企業の提案で製品化が試みられており、関連技術に関するノウハウ契約や特許についても取得申請をしております。 しかしながら、今回の研究に於いて助成対象となっているのは鋳造工程であり、鋳造アモルファス合金を作製するのに用いる他のプロセスの改善に関しては他の助成金等で調査・研究を推進しています。具体的には原料の管理保管方法、合金化プロセス、均質溶解法、など様々な製造に関する技術要素の開発およびプロセスの最適化は必須で有り、鋳造の最適化だけで改善されるものではありませんでした。結果として、作製した鋳造アモルファス合金は密度や弾性率のバラツキが充分に抑えられた良質なものでした。以前は5%程度ばらついていたのに対して、本開発プロセスでは1%以内に抑えることが出来ました。このように、単に鋳造プロセスだけではありませんが、総括的な製造プロセス全般の見直しが今回得られた結果の優位性に大きく寄与しているとおもいます。 本研究開発で得られた実験結果も含む研究成果は、幾つかの論文で纏めて報告をしております。本方法で作製した試料を用いることで新しく共同研究も始まっており、非常に大きな研究分野での波及効果を得ております。良質な材料を作製する事が重要である研究は多く存在するため、研究期間中に論文の投稿や学会発表のみならず、新たな共同研究や企業との製品開発・販売を通じて社会に還元することがでました。
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