研究課題/領域番号 |
23560862
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
山根 敏 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10191363)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | キーホール / CCDカメラ / 溶融池観察 / プラズマ電源制御 / ロボット溶接 |
研究概要 |
プラズマハイブリッド溶接システムの構築のために、まず、溶接電源およびロボットをコンピュータ制御をできるように、溶接システム全体の改造を行った。プラズマ電源は強い電気雑音を出すので、その電源にコンピュータを直結させると誤動作の要因となる。そこで、コンピュータの代わりに小型dsPICを用いて、プラズマ電源を制御できるように改良した。ロボット制御用のパソコンとdsPICをRS-232Cを用いて接続した。これにより、パソコンの溶接条件をプラズマ電源制御用dsPICに転送できるようにした。その結果、プラズマ電源を自由にコンピュータ制御できるようになった。また、プラズマ溶接は溶接パラメータが多いために最適な条件が明確でない。そこで、基礎実験によりパラメータが溶接結果に与える影響を調べた。 プラズマ溶接の品質はキーホールの状態にも依存する。基礎実験を行い、最適な溶接電流波形と溶融状態のモニタリング方法について検討を行った。その結果、パルス電流を用いることにより、裏ビードおよびキーホールを明確に観察できることを明らかにし、この電流によるキーホールの安定化について検討した。さらに、電流を30Aにさげ、低電流期間を2msに下げることにより、プラズマ溶接におけるアークの影響を少なくできた。これによりCCDカメラによりキーホールの直接観察ができるようになった。また、プラズマ溶接はトーチ構造を考えると、電極はトーチのチップ内にあるために、肉眼による直視ができない。このため溶接線にトーチ内の電極中心を合わせることが困難である。そこで、溶融池画像を処理することにより、溶接線の自動検出を行った。これにより、溶接線倣いを自動化できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
従来の溶接電源と異なり、プラズマ溶接用電源は予想以上に、電気雑音が強かった。このため、従来と同じように電源制御のためにパソコンを接続したとき、パソコンが正常に動作せずに電源制御ができなかった。この対策のために、電気雑音に強い新たなシステムを考案した。このシステム構築に時間がかかった。また、GMA電源も同時に使用するので、その電源に対する電気雑音の影響を検討する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ電源、GMA電源の両方ともコンピュータ制御できるようになったので、2電源での溶接を行う。同じ極性の電源を用いるため、それぞれのトーチからのアーク放電したとき、その電流方向は同じである。互いのアーク電流により電磁力が干渉力として働き、プラズマアークおよび溶滴移行に影響を与える可能性がある。そこで、現象を高速度ビデオカメラで撮影して、電磁力の干渉について、解析し電源を制御する。高能率を達成し、アルゴンシールド下での溶滴移行を実現する。 さらに、現象を制御するための制御器について検討し、シミュレーションを行いながら、制御器の有用性についても検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
プラズマアークおよび溶滴移行の制御のために、溶接現象の電流および電圧の周波数計測用装置の導入およびGMA電源の高速制御のためのシミュレーションをMATLABとSimulinkを用いて実現する。シミュレーション結果をもとに、dsPICのプログラム構築する。これを実現するために必要な計測装置、ソフトウェアの購入および基礎実験に必要な溶接材料(ガス、ワイヤおよび母材)を購入する。また、本年度の研究成果を発表するための旅費にも使用する。
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