研究課題/領域番号 |
23560863
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
園家 啓嗣 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (80550805)
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研究分担者 |
石田 和義 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (70324176)
中村 正信 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助手 (00155855)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 遮熱溶射 / TBC / MoSi2 / ガスタービン / TGO / 熱サイクル特性 / 高温酸化特性 |
研究概要 |
1.遮熱溶射皮膜の研究動向、特許調査 ガスタービン7)などに適用されている遮熱溶射皮膜(TBC)の最新技術動向、文献調査及び技術特許取得状況を詳細に把握した。2.新しい遮熱溶射皮膜の性能評価 新しい遮熱溶射皮膜(MoSi2を中間層に導入した3層溶射皮膜)と従来型遮熱溶射皮膜(2層、トップコート:YSZ、ボンドコート:MCrAlY(M:金属))を含む5種類の遮熱溶射皮膜について、TBCの耐熱性評価において我々が必要であることを明らかにした熱サイクル疲労特性(熱サイクル疲労試験、サンプル:5種類、繰り返し熱サイクル:RT→1000℃→RT)および耐高温酸化性(高温酸化試験、サンプル:5種類、温度:1000℃、保持時間:1000時間)を比較評価し、新しい遮熱溶射皮膜の性能が優れていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的:現状2層構造である遮熱溶射皮膜に対して、酸化で生じるSiO2が自己修復性(き裂内をSiO2で充填する機能)を有すると報告されているMoSi2 とMCrAlYとの混合皮膜を中間層に導入し、ボンドコートの酸化を防止してボンドコートとトップコートの間に多孔質状に成長する酸化層の生成を抑えることにより、溶射皮膜の熱サイクル寿命を延伸する新しい遮熱溶射皮膜の開発を行う。達成度:新しい遮熱溶射皮膜(MoSi2を中間層に導入した3層溶射皮膜)と従来型遮熱溶射皮膜(2層、トップコート:YSZ、ボンドコート:MCrAlY(M:金属))を含む5種類の遮熱溶射皮膜について、TBCの耐熱性評価において我々が必要であることを明らかにした熱サイクル疲労特性(熱サイクル疲労試験、サンプル:5種類、繰り返し熱サイクル:RT→1000℃→RT)および耐高温酸化性(高温酸化試験、サンプル:5種類、温度:1000℃、保持時間:1000時間)を比較評価し、新しい遮熱溶射皮膜の性能が優れていることを確認できた。従って、本年度の研究成果の達成度は十分であると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
1.新しい遮熱溶射皮膜の長寿命化のメカニズム解明 新しい遮熱溶射皮膜の寿命が、従来型遮熱皮膜よりも延伸されるメカニズムを詳細に究明する。MoSi2の酸化で生じるSiO2の自己修復性(き裂内をSiO2で充填する機能)を、予亀裂挿入サンプルの高温酸化試験を行うことにより考察する。2.新手法の遮熱特性の確認 新しい遮熱溶射皮膜(3層構造)の熱伝導率を測定し、従来型遮熱溶射皮膜(2層構造)と同等の遮熱性(熱を遮断できる性能:100℃程度)を有することを確認する。
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次年度の研究費の使用計画 |
・溶射実験を行うために溶射材料(ZrO2、MCrAlY、MoSi2)を購入する。また、基材(SUS304,Co基超合金)も購入する。・温度測定するため熱電対(R型)を購入する。・研究成果を溶射国際学会で発表してPRするため、米国へ海外出張する。 遮熱溶射皮膜の性能確認が順調に行えたため、溶射材料などの消耗品が少なくて済んだ。繰り越し分は、皮膜の長寿命化メカニズム解明のための消耗品などに使用する。
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