研究概要 |
平成23年度は,主に金属テクスチャの評価試料の作製方法について実践的な検討をおこなった.計画ではショットプラスト加工に用いる投射材をガラスビーズのみとしたが,表面性状のRa(算術平均粗さ)およびRSm(粗さ周期)の値を加工条件の操作で変化させることができるが,RΔq(粗さの傾斜)は一定の値しか得られないことがわかった.そのため投射材としてカーボンランダムを実験的に用いた.結果はアルミニウム合金試料片の一部に投射材が残留し表面色を黒色に変化させていることが確認できた. ガラスビーズを投射材に用いた金属試料は主にアルミニウム合金,ステンレスで,投射材の粒径,噴射圧力,噴射距離,噴射時間などの加工条件を詳細に記録し,表面性状の各値Ra(算術平均粗さ),RSm(粗さ周期),RΔq(粗さの傾斜)および入射角度を変化させた光沢度,色度を測定した. これらの物理量が心理量に及ぼす影響を定量的に明らかにするための感性評価実験の進行状況について記す.各種金属に対する人が抱く潜在的イメージを調べ,KJ法から「重量感」「硬軟感」「硬質感」「近未来感」などの因子を導いた.この因子を参照しSD法による印象評価実験をおこなった.現在被験者数が学生20名であるが,今後増加させていく. 金属テクスチャを生成する表面性状,光の挙動の関係を明らかにし,審美的因子が明らかにすることで,製品設計者が求める金属テクスチャを表面性状および加工条件から特定する指針を構築できると考える.
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