本年度は、これまでに行ってきた金属テクスチャ試料の感性評価結果を基に、製品デザインなどのテクスチャ選定に求められる各条件を体系的指標としてまとめ可視化した。 金属テクスチャと評価用語の関係は、新たにコレスポンデンス分析を用いることで、金属テクスチャ試料の物理量と用語の関係構造を2次元で表現することができた。次に、評価用語の概念整理を目的に、抽出した92用語の因果関係を用語間の一対比較実験により導き、DEMATEL法を用いて用語の抽象性に応じた4つの階層に分類した。さらに、コレスポンデンス分析で導いた構造とDEMATEL法による階層構造を組合わせ、3次元的構造図および、模式図を作製した。これによりデザイナーが金属テクスチャを選定する際の指針となるばかりでなく、イメージの伝達を容易にする指標提案を行うことができた。以上の内容は、日本デザイン学会に査読つき論文として投稿中である。 その他、金属テクスチャの新たな因子として、透明感を抽出することができた。これは表面粗さおよび金属種によって光の挙動と関係が深く、概ね3種類のカテゴライズが可能と思われた。そこで、実験は印象評価により透明素材であるアクリル樹脂との比較を試みた。その結果、ショットブラスト加工を施した金属に生じる透明感の粗さ要件について特定することができた。本研究内容は、2014年9月に研究タイトル:「透過性素材と不透過性素材における透明感評価」(6410-B34)として第 16 回 日本感性工学会大会にて発表した。
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