研究課題/領域番号 |
23560880
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
村山 理一 福岡工業大学, 工学部, 教授 (20330946)
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キーワード | 超音波センサ / 非破壊検査 / 電磁力センサ / 電歪センサ / 非接触駆動 |
研究概要 |
昨年度は薄膜積層型圧電超音波センサを駆動するための電磁誘導コイル最適化を実施し、最終的に本来の目的である圧電薄膜積層型超音波センサと組み合わせて10cm以上遠方から圧電薄膜積層型超音波センサの駆動が可能であるという実験結果を得た。次に400度までの高温実験を実施し、感度低下は発生するが十分な受信信号強度が得られることがわかった。 今年度は、試験パイプ(パイプ周方向に等間隔で薄膜積層型圧電型超音波センサが成形)を用いて電磁誘導法によるガイド波の送受信を試みた。周方向に成形・添付された4つの薄膜積層型圧電型超音波センサを同時に安定して駆動する工夫が必要であったが、200kHZに中心帯域を持つパイプガイド波の送受信信号を確認することができた。受信信号のS/Nは疵検出には不十分であった。次にフレキシブル薄膜積層型圧電型超音波センサを試験パイプ周方向に添付することで同様な実験を試みた。その結果、パイプガイド波は検出できたが更に弱い受信信号であった。受信信号のS/Nが不十分である原因について検討した結果、薄膜積層型圧電型超音波センサ、フレキシブル薄膜積層型圧電型超音波センサ共に、中心駆動周波数が9MHzにあり、パイプガイド波として駆動するための周波数200kHzと不整合があることがわかった。薄膜積層型圧電型超音波センサの製作メーカと協議した結果、製作上の困難さは伴うものの200kHz中心帯域の薄膜積層型圧電型超音波センサの製作は可能であり、薄膜積層型圧電型超音波センサを用いたパイプガイド波送受信システムの実用化条件を明らかにすることができた。次に薄膜積層型圧電型超音波センサ添付型パイプを高温槽を用いて、200℃まで加熱したが受信信号は検出することができた。 今年度は、パイプガイド波の信号強度の向上と500℃程度までの高温実験を実施し、本手法の有効性を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標とした電磁誘導コイルと市販の圧電振動子型超音波探触子と圧電振動子を用いて、電磁誘導コイルの線径、巻き数、直径、材質等の仕様の最適化の結果、最終的に当初目標(圧電振動子型超音波探触子と電磁誘導コイルの距離を10cm離して駆動する)を上回る20cm遠方からの超音波探触子の駆動に成功した。最適化された電磁誘導コイルを用い本来の目的である圧電薄膜積層型超音波センサと組み合わせた実験を行い、10cm以上遠方から圧電薄膜積層型超音波センサの駆動が可能であるというほぼ同等の実験結果を得た。次に400度までの高温実験を実施し、コイルのみを加熱した場合は検出感度に変化がないこと、圧電薄膜積層型超音波センサを同時に加熱した場合も感度低下は発生するが十分な受信信号強度が得られることを確認した。 次に、目標とした、試験パイプ(パイプ周方向に等間隔で圧電振動子型超音波センサを添付)を用いて電磁誘導法によるガイド波の送受信に成功し、その疵検出性能を確認する段階に至っている。 従って、予定通り進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の基本的なセンサ駆動コンセプトは有効であることは確認できている。平成25年度は、まとめの年として、傷検出能について、発生させた複数の超音波モード毎に評価し、実用化の可能性を探る。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度終了時点で211,886円の研究費を繰り越したこともあり、研究が順調に進展したものの224,046円を残すこととなった。平成25年度は50万円を越える物品の購入計画はなく、超音波センサを改善するための電子部品や試験材料購入が主な使用用途となる。その他、最終年度にあたるため国際学会等における研究成果発表にも活用する予定である。
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