研究課題/領域番号 |
23560882
|
研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中村 奨 長岡工業高等専門学校, 電気電子システム工学科, 教授 (10217854)
|
キーワード | 紫外レーザー / ナノ秒 / シングルショット / マルチショット / ガルバノメータースキャナ / PPS |
研究概要 |
本技術の実用化を前提に、100mm×100mm程度の面積に直径20μm程度のストレート孔を開口率50%であけることを目標として研究を進めてきた。そのために、Optowave社製の紫外レーザーであるAwave-355をX-Y平面内でビームを走査することが可能なワイ・イー・データ社製ガルバノメータースキャナMiramotion、ならびにシグマ光機社製のストローク300mmのマグネスケール内臓自動ステージと組み合わせて加工光学系を構築した。これによりオンザフライによる広範囲な加工が可能となった。 今年度使用した集光光学系は、拡大率2倍のビームエキスパンダと焦点距離56mmのfθレンズである。レーザーの照射条件は、波長355nm、パルス周波数2kHz、パルスエネルギー100μJである。被加工材は厚さ25μmのPPSシートであり、355nm紫外レーザー光を1発(シングルショット)のみ照射して貫通孔を形成させた。孔と孔の間隔は使用する光学系の制約から20μmとした。この場合、直径6.3μmの貫通孔が形成され、出射面側での開口率は8.9%であった。この条件で縦13.0mm、横10.8mmの1ブロックを描画し、これを繰り返すことによって名刺サイズ(65mm×52mm)のサンプル加工を行った。今年度はタクトタイム(加工時間)の短縮化を目標の一つとして研究を進めてきたので、シングルショットでの加工としたが、さらなる高開口率を得るためには、当研究室が開発した裏当て材を利用したマルチショット加工を利用すればよい。ただし、これはタクトタイムの長時間化に繋がるので、開口率とショット数との間でバランスを取る必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ガルバノメータースキャナとX-Y軸自動ステージとを組み合わせて加工光学系を構築したことによる広範囲の加工が実現可能となったこと、シングルショットで被加工材の貫通加工ができこと、合わせて直径10μm以下の孔径があいたことは、おおいなる研究の進展である。 しかしながらシングルショットの加工では、目標とする開口率を得ることができないこともわかり、マルチショットへの移行が必要であるとの認識を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
高開口率を得るためにマルチショット加工で研究を進める。ただし、マルチショット加工はタクトタイムの長時間化に繋がるので、開口率とショット数との間でバランスを取りながら、研究を進める必要がある。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これまでの成果を2013年7月に開催される予定の国際会議 The 6th International Congress on Laser Advanced Materials Processing, LAMP2013 で発表する予定であるので、参加登録費、旅費に使用する予定である。 またレーザー加工後の試料観察に使用しているデジタルマイクロスコープが故障したので、その修理費に充てる。
|