バリヤー放電によるオゾン発生には、電極に誘電体を設ける必要がある。この誘電体としてこれまで鉛ガラスが使用されてきたが、RoHS規制により鉛ガラスの生産が中止となった。そこで本研究では、これに替わる誘電体の研究を行うことを目的としている。オゾン発生のメカニズムを解明するために、前年度に加えて、別種類のセラミックスで誘電率の異なるものを加え、放電電流とオゾン発生量と関連を調べた。この結果バリヤー放電電流は、誘電率が大きくなるに比例して増加することが再確認できた。しかし、オゾン発生量は、前年度と同様に誘電率が30(相対誘電率)程度までは比例して増加するが、その後急に減少することがわかった。そこで、使用した材料の低抗率を調査し、オゾン発生量との関連を調べるとほぼ良い相関を示した。すなわち、オゾン発生量は抵抗率とともに大きくなった。この原因については、十分な解釈はできなかったが、放電現象が生起するには、抵抗率の値がある値まで高い必要があると考えられた。 さらに、これまで研究したホウケイ酸ガラスにアルカリ土類を添加ガラス系に対してガラス板を製作した。所定の組成を有する酸化物を溶融して、100mm角のガラス版を製作した。比較のためにアルカリ土類を含まない通常の組成のホウケイ酸ガラスも製作した。この試作において、最初に予定した組成では、ガラスが分相現象を起こし、ガラスが破損する現象が見られた。しかし、ホウ素の含有量を調整することで透明なガラスを得ることに成功した。この結果により、今後の大型化・実用化への見通しを得ることができた。
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