研究課題/領域番号 |
23560887
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
笹本 明 独立行政法人産業技術総合研究所, 先進製造プロセス研究部門, 主任研究員 (90357129)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 渦電流探傷 / 漏洩磁束法 / 境界積分方程式 / 逆問題 |
研究概要 |
GMRセンサ(一次元)を用いた漏洩磁束法による傷形状検出プローブを用いてSS400平板に加工した単純な線および点形状傷に対する探傷実験データを取得した。これらの基礎データを取得することを通して、漏洩磁束法への展開にフィードバックすべき改善点として,磁気的に汚染された試料に対しては磁場印加強度をさらに強める必要性が明らかとなった。また取得したデータに渦電流探傷用に開発した再構成アルゴリズムを適用し、アルゴリズムの有効性を確認した。この過程で、点状傷に対する応答は、アルゴリズムの適用にはやや不鮮明であることが分かり、これもまたプローブ構造の改善への重要な知見となった。磁場一様印可機構部のためのバイポーラ電源を入手し模擬回路として電気的等価回路を製作して、期待通りの共振回路動作を確認した。前述の漏洩磁束法センサーでの知見も踏まえて、次年度に向けた磁場印加部の機構の概念設計を行った。また3次元磁気センサを用いた磁場センサ部の構造について特にその磁場遮蔽構造を中心に検討した。復元アルゴリズムの高度化に関し、ラプラス方程式の積分方程式に関する議論を海外の研究者と検討し、特異積分方程式を用いる解法によって空間2次元の表面に垂直亀裂を有する問題と内部にクラックを有する問題について、各々の解の陽的表現を得る事が出来た。加えて2次元領域の内部に亀裂を有し、その亀裂両端に飛びのあるDirichletデータが与えられたラプラス問題を検討し、これまでに複雑な条件の下で存在が保証された過去の報告に代え、大幅に簡約化された境界積分表現を得て、ヘルダー連続な関数空間での解の一意性と可解性を証明した。また漏洩磁束のモデルの積分表現での妥当な定式化の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
漏洩磁束法についてはほぼ予定通り進捗した。アルゴリズムの研究については、上記順解析に関する知見を中心に得られ、予想を上回る順調な諸成果を得られた。プローブは、当初予定の製作にはおよばなかった。ほぼ概念設計は終え、また基礎回路実験も終了出来たため、次年度には製作できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画全体から大きな変更はない。ただし当初の前年度計画にあった3次元GMRセンサを用いた一様磁界プローブの製作が設計に留まってしまった。これは一次元GMRセンサによる予備試験によって、一様磁界の印加機構を当初想定よりも慎重に設計しないと不十分であることが判明してきたこと(「研究実績の概要」を参照)に対して、その要求に対応してプローブを製造可能な会社を、なかなか見いだせなかったことにある。主にこの費用が次年度使用額となった。幸い年度末に対応可能な会社を見いだせ、次年度に製作する見込みである。したがって計画全体としての大きな変更はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
プローブ製作に600千円程度、数値解析用計算機に580千円程度、GMRセンサーに50千円程度を使用する。
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