前年度までの研究によって、Cu2O系フラックスを用いてSiC製DPFを連続的にスラグに処理することが可能であることが分かったので、処理後に生成されるCu2O-SiO2系スラグと溶銅間の白金、ロジウム、パラジウムの分配比をCu2O中のSiO2濃度を0~15mass%の濃度範囲で変化させ、1250℃で測定した。Cu2O-SiO2系スラグと溶銅間の酸素分圧は、4mass%SiO2付近で純粋なCu2Oと溶銅間の平衡酸素に比べて大きくなった後に、スラグ中のSiO2濃度の増加に伴い減少することが分かった。また、スラグと溶銅間の白金、ロジウム、パラジウムの分配比は、スラグ中のSiO2濃度の増加に伴い単調に減少し、SiO2を4mass%程度含むスラグと溶銅間のPGMの分配比は、SiO2を含まない場合に比べて半分程度になり、SiO2を含有するスラグはPGMのスラグが小さいことがわかった。 Cu2OはSiO2を20mass%程度しか溶解出来ない。しかしながらFeOx-SiO2系スラグは35mass%程度までSiO2を溶解することが可能である。SiCの処理量を増加することを目的として、FeOx-SiO2系スラグを用いた場合について検討した。実際には1300℃で、酸素分圧をlogPO2=-9~-6に変化をさせてFeOx-SiO2系スラグへのロジウムの溶解度を測定した。その結果、FeOx-SiO2系のスラグへのロジウムの溶解度は酸素分圧の低下に伴い小さくなり、還元雰囲気ではロジウムのスラグ損失が小さくなることが分かった。また、スラグへのロジウムの溶解度はバラツキはあるものの、スラグ中の銅溶解度が大きくなると増加することも分かった。これらのことからDPFのSiCは酸素分圧を下げる働きがあるので、SiC製DPFを処理することにおいてはロジウム等のPGMのスラグロスは小さいと判断できる。
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